PC入門研修からのスタート、今では利用者が意欲的に活用
データ化により、非効率なコストを見える化
写真右より |
所 在 地:和歌山県和歌山市 病 床 数:医療型療養病床(115床) |
和歌山城を臨む浜病院様は、1955年(昭和30年)開院の歴史ある病院です。療養型病院として地域医療の発展に力を注ぐ中で、災害等の被害を受けた場合でも医療を継続して提供できるようクラウドカルテ「blanc」を導入しました。導入のきっかけや導入後の効果について、院長 柏木 秀夫 氏、事務部長 須佐 友洋 氏、言語聴覚士 下代 真広 氏にお話を伺いました。
導入前の課題 |
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脱・紙カルテを目指しクラウドサービスを検討
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導入後の効果 |
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blanc導入により情報共有を強化、災害や外部脅威に強い環境を整備
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目次 |
紙カルテからの脱却に取り組む
― 医療法人 浜病院 様の特徴についてお聞かせください。
柏木: 当病院は1955 年(昭和30 年)に開院し、2008 年(平成20年)より療養型病院として活動しています。療養型病院は、症状や兆候は激しくはないものの、長期にわたって治癒が困難な状態が持続する患者さまを対象としており、入院期間が1 年以上になるケースも少なくありません。そのため患者さまに治療だけでなく生活をする場を提供できるよう、談話室や病室にゆとりを持たせています。また高齢の患者さまが多いため、地域医療の連携にも力を入れています。
― blancを導入する前にはどのような課題がありましたか。
須佐: デジタル化が急速に進展している中、紙カルテからの脱却が当院の課題でした。当院では別の医療機関から入職する人も多く、電子カルテしか知らない人もいます。そうした人がスムーズに業務を進めるためにも、電子カルテの導入は必要だと考えていました。
JBCCのサポート体制を評価し「blanc」を選定
― 電子カルテの製品はどのような条件で探しましたか。
須佐: クラウドサービスであることが必須条件でした。当院は紙のカルテで運用していましたが、近隣にある関連病院ではオンプレミスの電子カルテを使用しています。和歌山市は豪雨による浸水の事例がある地域のため、関連病院では1 階にあるサーバー室のラックを50cm ほど高くし対策していました。それでも水害が発生した時、浸水してサーバーが利用できなくなってしまったのです。こうした過去の教訓と南海トラフ巨大地震のリスクを考慮すると、クラウドサービス以外にないと考えていました。
またオンプレミスの場合、トラブルが発生した際に昼夜休日を問わず原因の切り分けと修理の手配をしなければなりません。クラウドサービスであれば、サーバー運用の負担が軽くなるという期待もありました。
― blancを選定した決め手を教えてください。
須佐: 2022 年に資料の問い合わせをして5~6 製品を検討し、最終的にはblanc を含めて2 製品に絞りました。blanc を選択したのは、JBCCの営業である藤田さんやエンジニアの住友さんのお人柄が大きな理由です。当院は初めて電子カルテを導入するため、親身にサポートしてもらえる体制が必要です。プレゼンでお二人がblanc にできること、できないことを明確に説明していたため、安心してお任せできると考えました。またJBCCは自社のセキュリティセンターを持っており、ランサムウェア対策としてパロアルトのCortex も提案してもらえたため、安心感がありました。
次々と発生する問題を丁寧に解決
― 導入の準備で苦労されたことはありますか。
下代: 私はもともとリハビリテーション担当ですが、電子カルテ導入が決まって推進を任されました。他の病院から入職して日が浅かったこともあり、どの部署でどのような人が仕事をしているか把握していませんでした。それぞれのスタッフの役割を理解した上で、業務上の調整を行うのが大変だった記憶があります。最終的にはスタッフに任せるべき部分と私が行うべき部分が見えてきて、スムーズに進むようになりました。
須佐: 当初私たちは紙で運用している業務がそのままシステムに置き換わると思っていました。そのため詳細を詰めていけばいくほど、そのまま置き換えられない部分が増え「こんなはずではなかった」と感じることもありました。それでも住友さんや藤田さんが問題に真摯に向き合い、解決に向けて力を尽くしてくれたことで、信頼関係を築くことができました。
下代: 業務をそのまま置き換えることはできないのですが、結果的にblanc のテンプレートを工夫することで、かなりの部分をカバーできました。このような汎用性もblanc の良さだと思います。
情報共有を促進、業務コスト面での改善も
― 導入してどのような効果がありましたか。
下代: わざわざ紙カルテを見に行かなくても患者さまの情報がすぐにわかるため、情報共有が強化されたと思います。
副次的な効果としては、電子カルテを導入したことで、部署の壁を超えてコミュニケ―ションが活性化しました。お互いにどのような仕事をしているかを理解するようになり、相談し合える環境になったと思います。
須佐: さまざまな業務が定量化されるため、非効率にコストがかかっている業務があれば、担当しているスタッフと相談して改善しています。数字で明確に表現されるので、コスト意識が高まりました。
運用面では、トラブル対応がほとんどないのが助かっています。トラブル自体は発生することもあるのですが、こちらから働きかけなくても迅速に対応してもらっています。
― 利用している方からはどのような反響がありますか。
下代: 高齢のスタッフが多く、中にはPC に触ったこともない人もいました。そのため運用開始前の研修では「右クリックとは何か」から始めました。そのような状態だったので「導入しても使いこなせないのではないか」と不安の声が多かったのも事実です。
しかしいざ導入してみると、意外にスムーズに運用できたという印象です。直感的に操作できるため、年齢に関係なく利用できており、全体のITリテラシーも向上しています。
須佐: 当初は私や下代先生が運用をサポートしていたのですが、最近では「こんな便利な使い方ができるの?」と私たちが驚くような活用も進んでいて、こちらが教えてもらうことも多いです。想定以上に使いこなしていると思います。
― 院長先生はblancについてどのように評価していますか。
柏木: 私は紙カルテ派だったのですが、慣れるととても便利ですね。紙カルテのメリットは、患者さまの情報が一目でわかることだと思います。
それに対して電子カルテは履歴をスクロールして見ていかなければなりません。今後、必要な情報が一目で見てわかるように改良されると、もっと使いやすくなると思います。
データ活用を促進し、より良い医療につなげる
― 今後どのようにblancを活用していきたいですか。
須佐: 今後はblanc を関連病院へ展開していくことを考えています。また患者さまの食事や使用している医療器具、医療材料など、blanc を利用することで日々の情報が蓄積されています。このようなデータを病院経営にさらに活用していきたいです。JBCCは様々なサービスを展開している会社なので、今後も役立つツールを紹介してもらえることを期待しています。
― 今後の貴院の展望をお聞かせください。
柏木: 療養型病院として、患者さまのQOL (生活の質)を向上させることが重要です。そのため、ここ数年はリハビリテーションに力を入れています。これまで医療情勢が激変する中で、患者さまが充実した生活を送れるような医療を模索してきました。今後も患者さんやご家族の思いを大切にして、地域医療に貢献していきたいと思います。
本日は貴重なお話をありがとうございました。
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水害の経験を経て紙カルテをクラウドカルテ「blanc」(ブラン)へ移行。情報共有の強化とコスト効率化を実現PC入門研修からのスタート、今では利用者が意欲的に活用 |
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クラウドカルテ「blanc」(ブラン)は、『いつでも・どこでも・だれでも』をコンセプトにした電子カルテシステムです。オンプレミスの電子カルテ「Ecru」(エクリュ)の機能はそのままに、より使いやすいレイアウトとなりました。遠隔診療や訪問医療・看護・介護といったシチュエーションにもご利用いただけます。 |