自動車部品の複雑な生産工程を支える基幹システムを刷新 グループ展開を見据えた業務標準化と工程進捗の可視化でDX を加速

株式会社ヤマシナ 様は、自動車産業向けを中心とした高精度ネジ・ボルトメーカーで、近年は自動車の軽量化ニーズに応える製品開発・技術革新など、新たな価値提供に取り組んでいます。今回、多品種・中量生産の複雑な生産工程を支える基幹システムをJBCCの超高速開発によりクラウド上で刷新するとともに、プロジェクトを通して内製化体制を確立されました。その道のりと今後の展望について、お話を伺いました。
会社名 | 株式会社ヤマシナ 様 |
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設立 | 2024 年4 月1 日 |
所在地 | 京都市山科区東野狐藪町16 番地 |
事業内容 | 金属製品の企画・製造・販売 |
資本金 | 9000 万円 |
URL | https://www.kk-yamashina.co.jp/ |
【超高速開発】GeneXus を活用したJB アジャイルで基幹システムを刷新 導入前の課題と導入後の効果
- M&Aにより増えるグループ企業へのシステム展開に課題
- 多品種中量生産に対応できる柔軟なシステムが必要
- 15年以上前に導入したパッケージ基幹システムの継続利用が限界に
- グループ企業へ横展開可能なシステム構築と内製化技術の獲得
- 工程進捗のリアルタイム把握が可能となり、問題への対応時間を大幅削減
- 承認プロセスのシステム化により業務効率が向上
- 変革に対応しながら永く使えるシステム基盤の構築
導入の経緯
付加価値を高め競争力を高める
1917 年に創業した株式会社ヤマシナは、自動車産業向けを中心とした高精度ネジ・ボルトメーカーとして技術革新を重ねてきた。早い段階から海外の技術を積極的に取り入れ、海外メーカーとの業務提携を通じて技術力を向上。近年は自動車の軽量化ニーズに応える製品開発にも注力している。
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古川氏
「当社の製品は従来のQCD(品質・コスト・納期)に加え、軽量化という新たな価値を提供しています。例えば、CFRP(炭素繊維強化プラスチック)のような軽量の新素材を使用する際、従来のネジでは締結できなかったところ、我々の製品で可能にしました。またナットが不要なネジを開発して部品の総数を減らし、お客様のコスト低減にも寄与しています。」と古川泰司社長は語る。
基幹システムについては、15年以上前から使用してきたパッケージの販売管理システムをベースに、製造部門向けに大規模なカスタマイズを施して運用。約200本の自社開発プログラムを追加し、業務に対応してきたが、システムの保守が困難となり、レガシーシステムからの脱却が急務となっていた。
導入のポイント
アジャイル開発で現場の声を反映したシステム提案
システム選定では3 社による提案コンペを実施。従来のシステム開発では、要件定義から設計、開発、テストまでを順序立てて進め、完成品を一括で納入する「ウォーターォール型開発」が一般的だった。2 社がこうした開発手法をベースとしたパッケージシステムの提案を行う中、JBCCは現場の声を反映しながら機能の改善を重ねていく独自の開発手法「JBアジャイル」を提案した。
ヤマシナでは1000種類以上のネジボルトを多品種中量で生産しており、生産工程が複雑だ。このためパッケージでの対応は難しい。そこで新システムは自社業務に合わせて独自開発することを選択。既存の社内保守の体制を活かして、将来もシステムの改善を続けながらグループ各社へも展開していく構想を描き、JBCCをパートナーに選定した。以前EDIシステム(企業間の商取引データをデジタルで送受信するシステム)の開発でJBCCと協働した実績があり、業務理解度の高さと安心のサポート体制も選定のポイントとなった。
JBCCが提案したアジャイル開発(JBアジャイル)は、大規模な基幹システム開発でも実績がある超高速開発だ。ローコード開発ツール、GeneXusを活用した5回の開発サイクルを通じて段階的に機能を追加。各フェーズで現場の声を丁寧に拾い上げ、改善を重ねていく手法で、柔軟かつスピーディにシステムを構築できる特長がある。
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寒風澤氏
「JBCCのサポートは非常に手厚く、打ち合わせでは現場の声に真摯に耳を傾け、私達の業務をしっかりと理解して迅速に開発を進めてくれました。当初はアジャイル開発の手法である、試作段階の機能を現場に見せることに戸惑いがありましたが、そこで得た要望を開発に反映しながら機能改善を積み重ね、チーム一体となって、理想のシステムを作り上げていく実感がありました。」とヤマシナの親会社である株式会社ワイズホールディングス 総務課主任の寒風澤有希氏は評価する。
現場とのコミュニケーションにも工夫を凝らした。「現場の方々は、打ち合わせで意見を控える傾向があり、JBCCと協力して個別にヒアリングを行いながら、要望を丁寧に拾い上げていきました。技術面だけでなく、プロジェクトを成功に導くためのコミュニケーション面でも大きな支援をいただきました」と寒風澤氏は当時を振り返る。
当プロジェクトでは社内技術者3 名も開発チームに参加して、GeneXusのノウハウを蓄積することで、内製化体制の確立を目指した。

導入効果
新システム導入で業務効率化と環境負荷軽減を実現
新システムの導入により、承認プロセスがシステム化され、場所を問わず決裁が可能となった。意思決定のスピードが上がったと現場マネージャーからも好評だ。
今回、工程管理がシステム化された効果も大きい。「以前は日次や週次でしかデータを取れず、実際の状況把握に時間がかかっていました。新システムではリアルタイムで工程進捗が確認でき、問題の早期発見と対応が可能になりました」と寒風澤氏は評価する。
利用者からは「手配業務の承認が早くなった」「現品票の印刷は期間を指定してまとめて印刷できるようになった」「製品情報を検索しやすくなった」「請求書の押印等がなくなり、使いやすくなった」といった声が寄せられている。
JBCCのプロジェクト支援により、現場とシステム部門、開発チームが一体となり、開発中の課題にも迅速に対応することができている。「JBCCは技術的な課題から業務の効率化まで、包括的なサポートを提供していただきました」と寒風澤氏は評価する。
今回のプロジェクトではシステム基盤をクラウド化した。JBCCの運用付きクラウドサービス「EcoOne」を活用して運用負荷を軽減しつつ、長期にわたり安定したIT 環境を実現している。
このシステム刷新による一連の改革は、持続可能な企業経営の観点からも大きな意義を持つ。グループ企業への展開を見据えた永続的なシステム基盤の構築は、産業基盤の革新に寄与している。また、承認プロセスのデジタル化によるペーパーレス推進は環境負荷の低減につながり、テレワーク環境の整備と業務効率化は、働き方改革の実現に貢献している。
今後の展望
グループ全体でさらなるDX を推進へ
同社は今後、構築したシステムをグループ企業へ展開していく計画だ。
2024年10月にはホールディングス体制に移行、グループ全体の経営効率を高めていく方針だ。「各社で異なっていた原価計算の方法を標準化し、グループ全体の経営効率を高めていきたい。システムを導入していない会社もあり、業務プロセスの整備から始める必要があります。」と古川社長は意気込む。
また、深刻化する人手不足への対応として、AIやロボットとの連携も視野に入れている。「日本の人口減少を考えると、システムやロボットの活用は必須です。昨年からAI活用とロボット導入のプロジェクトチームを立ち上げ、検証を進めています。今回のシステム刷新を、全社的なDX推進の基盤として活用し、次の100 年に向けた事業基盤を築いていきます」と古川社長は展望を語った。
JBCC担当のコメント

【担当営業より】
当プロジェクトは、ヤマシナ様の基幹システム刷新プロジェクトとしてスタートしました。今回構築したシステムを将来的にはグループ子会社にも展開する構想もあり、グループ全体にとって重要なプロジェクトとして携わらせていただきました。
開発の各段階(プロトタイプ、プロダクト、パイロット)では、ヤマシナ様の現場の方々に何度もアプリケーションを確認していただきました。システム担当者様には開発で使用するローコードツールをスキル習得していただき、共同で開発を進めました。両社が一丸となって作り上げたシステムです。
「工程が特殊でパッケージが合わない」、「内製化の取り組みを行いたい」などのご要望がありましたら、JBCCがご支援いたしますので、ぜひお気軽にお問い合わせください。
西日本事業部 第一営業部 川渕 竜一 (写真左から2番目)
【担当SEより】
今回の新システム構築では、特にヤマシナ様の強みとなる製造工程への柔軟な対応をできる限り活かしたシステムを目指し、パッケージ製品へあてはめるのではなくオーダーメイドで現場のみなさまと一丸となってイチから作り上げていきました。
プロトタイプではヤマシナ様現場メンバーと何度も試行錯誤し、両社一丸となって作り上げてきたシステムですので、これからはじっくり使い込んで、習得されました開発スキルで更に進化させていただけると大変嬉しいです。
今後も成長するシステムを一緒に作り上げていくパートナーとして、ご支援をさせていただきます。
SI事業 プロジェクト推進 大西 倫子(写真右)
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