AWS全面移行で複合的課題を解決。安定したシステム基盤を確立し子ども一人一人に合った学びを提供
(左から)株式会社やる気スイッチグループ 未来共創テクノロジー本部 システム部 オフィサー 兼 インフラ管理課 課長 三枝 英之 氏、常務取締役 中井 陽子 氏、未来共創テクノロジー本部 インフラ管理課 田中 良彦 氏、未来共創テクノロジー本部 インフラ管理課 吉田 旭 氏、未来共創テクノロジー本部 システム部 部長 兼 システム開発課 課長 愛下 秀平 氏
株式会社やる気スイッチグループ様は、教育サービスを通じて世界中の子どもたちの夢や人生を応援してゆく、総合教育グループです。IT投資を経営の重要課題と位置づけ、システム基盤の強化を推進しており、今回、データセンターの閉鎖が迫るなか、基幹インフラの刷新に取り組みました。子どもたち一人一人に最適な学びを提供するための安定した基盤の構築、その道のりと今後の展望について、中井 陽子 氏、愛下 秀平 氏、三枝 英之 氏、田中 良彦 氏、吉田 旭 氏にお話を伺いました。
| 会社名 | 株式会社やる気スイッチグループ 様 |
|---|---|
| 設立 | 2017年4月 |
| 所在地 | 東京都中央区 |
| 事業内容 | 個別指導塾・英会話スクール・幼児教育・民間型託児保育の経営、及びそれらのフランチャイズ事業 |
| URL | https://www.yarukiswitch.jp/ |
教育事業を支える2,400教室の基幹インフラを刷新
AWSへの全面移行で事業継続性とコスト最適化を両立
導入前の課題と導入後の効果
- 事業成長に追従できない物理サーバーのスペック限界
- データセンター老朽化による2024年9 月の移行期限
- より実効性の高い仕組みの整備が求められるバックアップ体制とBCP対策
- ドキュメント不在によるシステムの深刻な属人化
- 運用フェーズでもJBCCが伴走し段階的に権限移譲
- マネージドサービスで運用コストを予算内に最適化
- ICT全レイヤーをワンストップで束ね課題解決を実現
- BCP体制整備に向けて、バックアップ環境を100%改善
データセンター閉鎖、属人化―複合的課題に直面 導入の経緯
株式会社やる気スイッチグループは、個別指導塾、英会話スクール、幼児教室、民間学童保育などを全国で運営する総合教育サービス企業。日経MJ サービス業調査において学習塾・予備校部門で売上ナンバーワンを記録し、国内外で約2,400教室、13.5万人以上の子どもたちの学びをサポートしている。創業以来培ってきた教育メソッドを武器に幼児から高校生まで一貫した教育を提供している。
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中井陽子氏

「教育業界においてもデジタルトランスフォーメーションは避けて通れない課題です」。常務取締役の中井陽子氏はこう切り出す。
「一人ひとりの子どもに最適な学びを提供するためには、ITを活用したデータ分析や業務効率化が不可欠です。そのためには安定したシステム基盤が前提となります」。同社はIT投資を経営の重要課題と位置づけ、システム基盤の強化を推進してきた。
しかし、その基盤に限界が見え始めていた。物理サーバー上の仮想環境で稼働する既存システムは、リソース不足が目前に迫っている。システム部オフィサー兼インフラ管理課課長の三枝英之氏は「基幹システムをフランチャイズ教室へ拡大していく計画が進行中で、現行サーバーのスペックでは近い将来追いつかなくなることが予測できました。また、従前より利用しているデータセンターの閉鎖も迫っていました。」と振り返る。利用期限は2024年9月。期限内の移行は絶対条件だった。
さらに心配だったのがBCP対策が十分であるかどうかであった。データリカバリーに焦点を置いたバックアップは実施していたもののシステム復旧に十分に耐えうるバックップとは言えない状況だった。システム部部長兼システム開発課課長の愛下秀平氏は「可用性の確保が最優先課題でした。有事の際にバックアップが本当に使えるのか。実効性のある対策が取れる構成の実現が必須でした」と当時の危機感を吐露する。
加えてシステムドキュメントの欠如も深刻だった。三枝氏によれば「何十年も継ぎ足しで構築され、当初からドキュメントがなく、担当者の頭の中だけに情報がある状態」だったという。こうした複合的な課題を抱える中、同社は5 社のベンダーに提案を依頼することとなった。
ワンストップ対応力と豊富な実績で選定 導入のポイント
新規データセンター移行、オンプレミスへの移行、クラウド移行と提案内容は多様だったが、最終的にJBCCが提案するAWS環境への全面移行を採用した。選定の決め手は2点ある。
第一にサーバー、ネットワーク、回線を含む全体設計から移行、運用までを一貫して担当できるワンストップ対応力だ。三枝氏は「部分対応では他の部分をどうするかという課題が残ります。クラウド移行はサーバーだけでなくネットワークや回線も含めて初めて機能するため、全体を任せられることが重要でした」と強調する。
第二に、クラウド移行支援の豊富な実績である。JBCCは多数のクラウド移行プロジェクトを手がけており、その知見が信頼材料となった。
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愛下 秀平 氏

愛下氏は「移行プロジェクト特有の課題を熟知しており、的確な提案をいただけた。これは大きな安心材料でした」と評価する。
一部ベンダーからは一旦別のデータセンターに移してから時間をかけてクラウドリフトするという提案もあったが、愛下氏は「二重投資になるため、直接クラウドへ移行する方針を選択しました」と言う。こうして2023年11月、プロジェクトが本格始動した。
2024年9月の期限まで約1 年というタイトなスケジュールの中、最初の障壁となったのがシステムドキュメントの欠如だった。三枝氏は「ドキュメント状況は非常に厳しいものでした。リソース使用状況の確認方法から教えていただき、情報を一つずつ集めて連携する作業が続きました」と話す。JBCCは現行システムの詳細な調査から着手し、ドキュメント化を進めながら移行計画を策定していった。
移行対象は38台のサーバー。データベースと連携する基幹システムが大半を占め、分割移行が困難な構成だった。そこで独立稼働可能な9台を6月から8月にかけて先行移行し、残る約29 台の基幹システムをお盆期間に一括移行する段階的な戦略が立案された。
教育事業を営む同社にとって、夏期講習期間中のシステム停止は致命的である。中井氏は「システムは絶対に止められません」と強調する。
そこで、切り戻し手順が確立されているか、無理な場合は延期する判断ができるか、不測の事態が発生した際の代替計画は用意されているのかという点が重視された。「昨今のシステムトラブルは『そういうはずじゃなかった』が多すぎます。二重三重の安全策が必要でした」(中井氏)。
実際、初回予定日では安全を考慮して延期を判断し、予備日での実施となった。中井氏は「無理して事故を起こすより、冷静に延期を判断できる環境を作っていただいたことに感謝しています」と、このときの判断を高く評価する。
移行当日、想定スループットが出ないという問題が発生したが、JBCCのエンジニアが24 時間体制で原因究明と対策を実施し、48時間以内に解決に導いたという。「仮説を立て、一つずつ検証して解決していく姿勢に助けられました。また、良いパフォーマンスが出るまでしっかりと伴走していただきました。様々な課題はありましたが2024年8月に無事完遂、期限に間に合わせることができました」(中井氏)。このプロジェクトを通じて構築された信頼関係が、移行後の運用フェーズにおける協業の基盤となっていった。
マネージドサービスによるコスト最適化 導入の効果
移行が完了してもJBCCの支援は終わらなかった。
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吉田 旭 氏

インフラ管理課の吉田旭氏は「移行後も継続的に支援いただけました。単なる移行支援ではなく、運用フェーズでも伴走していただきながら、段階的に当社へ権限を移譲していくアプローチが非常に有効でした」と評価する。
当初はJBCC主導で運用を行いながら、やる気スイッチグループ側の習熟度に応じて徐々に運用業務を移管していく共同運用モデルを採用した。これによりクラウド運用のノウハウが社内に蓄積され、自走可能な体制が整いつつある。
しかし移行直後、新たな課題が浮上した。運用コストが予想よりも上振れしたのだ。
この課題に対し、JBCCのマネージドサービスを活用した継続的な最適化に取り組んだ。
具体的にはAWSリソースの使用状況を診断し、過剰スペックの見直しを提案。三枝氏によれば「JBCCは、リソースだけでなく、OSバージョンやミドルウェアまで考慮した診断を行い、適切なスペックへ調整できました」という。リザーブドインスタンスなど契約手法の見直しも実施し、最終的に予算内に収めることに成功した。構築後も継続的にコスト最適化を図れる体制が、クラウドの大きなメリットとして実感されている。
今回の移行で特に効果を発揮したのが、ICT全レイヤーをワンストップで対応できるJBCCの体制だった。
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三枝 英之 氏

三枝氏は「サーバー、ネットワーク、回線、セキュリティまで一貫して相談できることで、課題解決のスピードが格段に上がりました。複数ベンダーの調整に時間を取られることなく、本質的な課題解決に集中できました」と語る。
バックアップ体制はAWSの機能を活用し、30日前まで遡及可能となった。インフラ管理課の田中良彦氏は「以前は手順書もなく、バックアップから本当にリストアできるのか不安でした。今は手順も整理され、メンテナンス日に特定日の状態に戻す調整も可能です。ランサムウェア等の被害に遭っても事業を継続できる体制が整いました」と安堵
の表情を見せる。
システム基盤の柔軟性も大幅に向上した。三枝氏は「クラウド化で冗長性が確保され、リソース拡張も容易になりました」と説明する。
事業成長に応じたスケーラビリティの確保は、当初の課題を解決する重要な成果となった。愛下氏は「一社で個別指導塾から学童保育まで幅広く展開する業態は非常に珍しく、それぞれのサービスで求められるシステム要件も異なります。クラウドの柔軟性により、各事業の成長スピードに合わせたインフラ対応が可能になりました」と評価する。こうした運用面での成果を踏まえ、同社は次なるステージへの準備を進めている。
三つのIT戦略で教育の未来を切り拓く 今後の展開
技術面では、さらなるBCP強化が課題として挙げられている。具体的には別リージョンへのバックアップ展開、定期的なリストア訓練の実施、脆弱性管理の改善だ。
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田中 良彦 氏

田中氏は「世間では本番で初めてリストアを試みて失敗したという事例も聞きます。定期的な訓練を実施すべきだと考えています」と指摘する。
形骸化していたBCP体制は、今回のクラウド移行により実効性のある仕組みへと進化した。さらなる強化により、真に事業継続を保証できる体制の構築が視野に入ってきている。
安定したシステム基盤を確立した同社は、次なるステージとして事業面でのIT活用を推進する。中井氏が掲げるのは三つのIT 戦略である。
第一にフランチャイズ加盟店を含めたグループ全体へのシステム展開。授業提供状況のリアルタイム把握による経営支援の高度化だ。第二に教室現場のDX推進。事務作業のシステム化により、教育という本質的業務へのリソース集中を図る。第三にオンライン教育とデータ活用。長年蓄積した学びのデータをAI等で活用し、次世代の教育サービスを創出する。
こうした戦略の実現には、堅牢なセキュリティ対策が不可欠だ。フランチャイズ加盟店のデータが消失すれば授業は即座に停止し、生徒や家庭の個人情報漏洩は全国2,400 教室の信頼を失墜させる。
中井氏は「データの安全性確保とシステムの安定稼働は、事業拡大の絶対条件です。今後もさらなるセキュリティ強化に取り組んでいきますし、JBCCにも、クラウド環境の継続的な最適化に加え、技術パートナーとして伴走していただきたい。特にデータマイニングやAI活用を見据え、データベースの在り方やデータの持ち方についても、専門的な知見から提案いただけることを期待しています」と語る。今回の移行プロジェクトで実証されたJBCCのワンストップ対応力、豊富なクラウド移行実績、そして運用フェーズでの継続的な最適化支援は、同社の事業戦略を支える重要な基盤となっていく。
中井氏は最後にこう締めくくった。「今回のクラウド移行は、単なるインフラの刷新ではありません。教育の本質である『やる気を引き出す』ことを、テクノロジーで増幅させるための基盤づくりです。JBCCとの協業により、ICT全体を統合的に最適化できたことで、次のステージへ進む準備が整いました。これからは、この安定した基盤の上、子どもたち一人一人に最適化された学びを提供していきます」。安定したクラウド基盤を確立した同社は、教育の未来を切り拓く新たなステージへと踏み出している。
担当者のコメント
本プロジェクトでは、全国2,400教室を展開し、教育DXを通じて子どもたちの学びの質向上に取り組む同社に対し、データセンター閉鎖という期限付きの課題を踏まえ、インフラの全面クラウド移行から運用まで一貫してご支援しました。短期間での移行を実現するとともに、運用開始後も継続的な最適化によりコスト削減を支援しています。今後は、学びのデータを安全に活用するためのセキュリティ強化やAI活用に向けた基盤整備を通じ、子どもたちの未来につながる教育DXをITの専門性で支えてまいります。クラウド化のご相談はJBCCまでお気軽にお問い合わせください。
第一事業部 第三営業部
大朏 優健(右から2番目)
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