ICTとIoT は、IT技術の進歩に伴って注目を集め始めています。それぞれの特徴や違いをざっくりと表現するならばICTが「通信技術を使ったコミュニケーション」、IoTが「モノとインターネットを繋ぐ」ことを指しています。
今回は、その中でも特にICTという言葉を掘り下げていきます。ICTとは何なのか、そしてそれらをどのようにビジネスの世界で活用し、新たなサービスとして価値を提供していける可能性があるのか、ぜひ参考にしてみてください。
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「ICT」と「IT」の違いと関係性
ICT(Information and Communication Technology)とは、その字面の通り、IT(Information Technology)技術にコミュニケーション(Communication)機能を付加することで、さらなる利便性や顧客満足度向上を目指す取り組み全般を指す言葉です。
とはいえ、一言に「ITにコミュニケーション機能を付加する」といっても、なかなか具体的なイメージを持つことは難しいでしょう。具体的な例を使って解説をすると、以下のようなことです。
給与計算の現場を想像してみてください。昔はタイムカードを紙に打刻し、それを人の目と手で確認・集計し、給与計算や給与明細の発行を行っていました。しかし、そこにICTが入ることで、タイムカードは電子化されます。給与計算もデータから取得した値をもとに自動的に行えるようになり、人的なミスをなくし、かつより効率的に給与明細の発行も行えるようになったのです。ここまでは、IT技術の発達によって実現できたことです。
そして、そこにICTが加わることで、たとえ地方の事業所の勤務データであっても瞬時に本社へと集め、処理することができるようになりました。結果として、給与明細もメールなどで配布することが可能になり、コスト削減や管理の手間の削減に繋がったというわけです。IT化で利便性が向上することはもちろんですが、そこにコミュニケーション/通信の要素が加わることで、ワンランク上の利便性を実現できるということがお分かりいただけるでしょう。
あまり知られていないことですが、実はITとICTについては、それぞれメインで管轄する省庁にも違いがあり、ITは経済産業省、ICTは総務省が担当しています。どちらの省庁も、実際の活動内容は多岐にわたるため一概には言えませんが、ICTはより人々の普段の生活に近い位置での活用が期待されているということですね。
総務省では現在「u-Japan政策」を進めており、ネットワークが生活の隅々にまで融け込む草の根のようなICT環境を実現し、21世紀の社会課題を解決するためにICTを積極的に利活用するさまざまな取り組みを行っています。
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ICTの活用事例と今後の可能性
ここからは、実際のICTの活用事例を見て行きましょう。言葉で見ると難しく感じるかもしれませんが、すでに多くの企業でICTを活用した新しいサービス提供が行われています。以下がICT活用の代表的な例です。
お客様対応の強化
- お客様先でも携帯端末から社内のシステムにアクセスでき、納期回答や在庫回答をスムーズに行える
- Webサイトを使って、時間や場所を問わずに商品の注文や問合せが可能になった
意思決定の迅速化
- システム化されたワークフローで、社内にいなくても各種申請の承認などが行える
- TV会議システムを用いて、離れた事業所のメンバーともリアルタイムで会議することが可能になった
情報共有、社内コミュニケーションの強化
- 携帯端末の活用で、外出先からでも社内メールが送れるようになり、営業報告でスムーズな情報共有ができる
- スマホで撮影した写真を添えて連絡することで、より具体的でわかりやすい報告が可能になった
もしかすると、普段はあまり意識することなく使っているかもしれませんが、これらはICTが活用されたからこそ実現できた利便性です。既に「できて当然」というレベルの話にもなっていますから、逆にその活用が思うように進められていない企業は、他社に後れをとってしまうこともあるかもしれません。
- お客様対応が手薄 → 対応が速い他社に販売機会を奪われてしまう
- 意思決定が遅い → 一瞬のビジネスチャンスを掴みきれない
- 情報共有ができていない → 無駄に作業工数が掛かってしまったり、的確なアドバイスがしづらくなったりする
こういったことが起こる可能性もありますので、ICTの積極的な活用は急務です。
ICT推進のためにはより多様なコミュニケーションが求められる
IoTの本格化やビッグデータ活用など、昨今の世の中の流れを考え合せると、確実にこれまでよりも多様なコミュニケーションがビジネスに求められるようになるでしょう。しかし、いざ必要になった時、すぐに大がかりな対応ができるとは限りません。その都度、新たなことに対応をしていくのは、コストも時間も掛かってしまうものです。
将来を見据え、今のうちに、未対応の箇所や可能なところからIT化、ICT化に手をつけておくのが得策と言えるでしょう。