ビッグデータと人工知能、IoTによる産業界の変革が、世界的に注目を集めています。一方で、さらに新しく「IoE」という言葉も生まれています。IoEはIoTがさらに発展した概念です。インターネット技術がもたらすIoE社会の姿について解説します。
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IoEとは何か
IoEとは、「Internet of Everything」の略で、直訳して「すべてのインターネット」です。
IoTが「Internet of Things=モノのインターネット」と呼ばれ、あらゆるモノがインターネットにつながって生活を向上させることを指すのに対し、IoEはモノだけではなく、ヒトやコト(データ)などがインターネットにつながることを意味します。IoEはIoTを含めた「すべて」に対するインターネット変革です。
また、ほぼ同じ意味で「IoA(Internet of Anything=なんでもかんでもインターネット)」という言葉もあります。
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IoE社会の姿とは
IoEの社会の例としてよく話題になるのが、スペイン・バルセロナの市役所です。バルセロナは市役所機能をバーチャル化し、行政サービスの遠隔提供を実施しています。市民は市役所まで出向くことなく、行政サービスを受けることができます。
市役所機能のバーチャル化は、市民生活の効率と質を向上させるでしょう。一方で、市役所での雇用は縮小します。このように、IoEの浸透は、人材の需要と雇用市場の変化にも大きく関わってくると考えられています。
IoEの浸透で変わる生活・働き方
現在でも、書籍や生活用品を取り扱う小売店はネット通販業者の影響から苦境に立たされています。一方で、ユーザの手元まで物品を届ける配送業者は盛況です。
米国のネット通販業者「Amazon」は、商品のピックアップや在庫確認などのバックヤード業務にロボットを導入しました。社内システムや配送サービスと連携し、配送状況のリアルタイム追跡や無駄のない在庫管理を実現しています。人件費や在庫コストを圧縮し、他の新しいサービスへの投資を行っています。
このように、オフラインでのルーチンワークに従事する人材の需要は低下し、オンラインでのサービスやサポート、自動化事業を支えるエンジニアやデータサイエンティストなどの需要が増加すると考えられています。
おわりに
以上、IoTの次に来るとされる、IoEについて解説しました。IoD(デジタルのインターネット)、IoH(ヒトのインターネット)、そしてIoT(モノのインターネット)がすべて統合されてIoEとなったとき、ヒトやモノ、データはすべてデジタルデータありきの存在となるでしょう。
その頃には、すべてがオンラインであることが当然になり、「スマートデバイス」や「オンライン」といった言葉も使われなくなっているかもしれません。また、インターネットは電気や水道のように、提供されることが当たり前すぎて裏側の見えにくいサービスになっているかもしれません。
そうした未来を想定したライフスタイル、ビジネススタイルは、今後もより強く求められるようになるのではないでしょうか。