利用申込システムをJBアジャイルでクラウド上に構築し顧客満足度向上を実現

会社名 | パシフィコ横浜(株式会社横浜国際平和会議場)様 |
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設立 | 1987(昭和62)年6 月3 日 |
所在地 | 横浜市西区みなとみらい一丁目1 番1 号 |
事業内容 | 国際・国内会議及び文化・学術等各種催物の企画、誘致及び開催、 国内外商品等の見本市、展示会の企画、誘致及び開催、その他 |
URL | https://www.pacifico.co.jp/ |
1965 年、当時の横浜市長による横浜市街活性化のための提言「六大事業」の一つ「都心部強化事業」を受け、スタートしたのが「みなとみらい21事業」でした。このプロジェクトの一環として、国際会議場などのMICE* 施設の建設が決定され、「国際交流拠点」「集客(街の賑わいづくり)の拠点」として、パシフィコ横浜が誕生しました。
1991 年8 月に会議センター・ホテル、同年10 月に展示ホール、1994 年5 月に国立大ホールを開業、2001 年8 月には展示ホールを増床、そして、アネックスホールも開業しています。国立大ホールは、「国立」の国際会議場として計画され、国立京都国際会館に続き、東日本唯一の国立会議場です。このプロジェクトは、国内の主要大型MICE 施設としては例を見ない「民設民営」の第三セクター方式が採用されています。
*MICE ...企業等の会議(Meeting)、企業等の行う報奨・研修旅行(IncentiveTravel)、国際機関・団体、学会等が行う国際会議(Convention)、展示会・見本市、イベント(Exhibition/Event)の頭文字のことであり、多くの集客交流が見込まれるビジネスイベントなどの総称
お客様接点を完全Web 化し満足度約15% 向上、MICE業界のDX化を推進 導入前の課題と導入後の効果
- 申し込み手続きの煩雑さに伴うお客様の不満
- 紙やEXCEL での手続き・押印が当たり前の業界
- イベント開催に必要な社内手配業務の煩雑さ
- 業界に先駆け申し込み手続きをWeb 化し、利便性およびお客様満足度向上
- 紙やEXCEL から脱却し、データの利活用を促進
- 社内の手配業務もWeb で完結、イベント増加にも対応可能
<導入の経緯>満足度の低かった利用申し込みプロセスの抜本的改革を決断
パシフィコ横浜(株式会社横浜国際平和会議場)は、ビジネスイベントを開催している国内最大級の複合施設として広く知られている。1991 年の開業以来、年間1,000 件のイベント開催を誇り、リピーター企業も多い。2021 年には開業30 周年を迎えた。2020 年4 月には「パシフィコ横浜ノース」を開業。国内最大規模といえる約6,300 ㎡の多目的ホールと大中小42 室の会議室からなり、国内・国際会議のみならず、数千人規模のパーティーを伴う企業のイベント開催など、新たな需要創出の場として期待されている。
パシフィコ横浜では、企業のイベント担当者などのお客様の利便性を高め、繰り返しご利用いただくことを最重要と捉えており、お客様の生の声を聞き、業務改善を図ることを目的とした「CS アンケート」と呼ばれるアンケートを実施している。その回答を分析すると、全体としては顧客満足度約8 割を達成できているのだが、一つだけポイントの低い項目があった。それは利用申し込みプロセスに関するもので、具体的には「大変満足」「満足」を合わせて67% となっており、特に「手間がかかる」、「煩雑だ」という意見が多かった。
従来の利用申込プロセスでは、お客様に、契約書にあたる「施設利用申込書」と呼ばれるExcel フォームを電子メールで送信し、お客様側で必要な項目を入力し、出力して押印、さらにそれをスキャンして電子メールで送付もしくは郵送する手続きが必要であった。また、「施設利用申込書」や「各種提出書類」の情報をパシフィコ横浜の担当者が「指示書」に書き写し、お客様から提出された図面など添付書類とともに、パシフィコ横浜の約10 社の協力会社に配布していた。協力会社はこの「指示書」をもとに、機材、導入の経緯満足度の低かった利用申し込みプロセスの抜本的改革を決断作業、備品を手配していた。
このような利用申し込みのあり方を抜本的に改善しようと決断。お客様の利便性や協力会社との手配業務効率化のため、すべてWeb から申し込みを完結し、次回利用の際にはそれらの資料を再利用できるよう、利用者専用の「ユーザーページ」(ホームページ内に設置)を構築することにした。
ただ、パシフィコ横浜は従業員が約70 名と少数精鋭で運営しており、情報システム部門が存在しなかったため、プロジェクトチームは営業運営部と営業推進部のメンバーで組織された。
"システムに精通したメンバーがいない"
"誰にでもわかりやすい操作性"
"サービス開始までのスケジュールが短期間"
という難しい条件下でのスタートとなった。
<導入のポイント>JBアジャイルが決め手でJBCCをパートナーに選定
提案依頼書(RFP)を提出したのは2019 年。そこにはクラウドが前提であること、システムの可用性/ 安定性/ 安全性、将来的な拡張性を明記した。なぜクラウドだったのか。お客様は企業や広告代理店のイベント担当者だ。イベントには繁忙期があり、ピーク時、そうしたイベント担当者は会場から会場へと渡り歩くほど忙しく、オフィスで執務する時間が取れないほどであるため、外出先からアクセスできる必要があった。
また拡張性を挙げたのは、当時すでに「パシフィコ横浜ノース」開業を目前に控えており、イベント数増加への容易な対応などが視野に入っていたからだ。

図1 ウォーターフォール開発に比べて多くの利点を持つJBアジャイル
2020 年10 月、開発業者の選定にて、JBCCの採用を決断した。決め手はJBCCならではの開発手法JBアジャイルの存在だった。JBアジャイルでは、入念な要件定義を終えた段階で、実際の画面や機能を確認しながら徐々に完成させていく手法を取る。そうすることで、ウォーターフォール開発ではありがちな、システムがほぼ出来上がったテスト段階で"こんなはずではなかった"といったギャップの発生を防ぎ、社内にIT 人材がいなくても、要望通りのシステムを遅延なく開発できると考え、JBCCを選定した。
<導入のプロセス>週一回、実際に動く画面・機能を確認し、システムに反映
まず、ユーザーページの基本方針を「施設利用申込書」や「各種提出書類」、協力会社への「作業指示書」を全面web 化すること。また、これらは契約書に類する帳票だが、二段階認証を導入することでお客様の押印を廃止することとした。
次に、週に一度、パシフィコ横浜とJBCCで、動く画面と機能を見ながら議論する場を持った。
パシフィコ横浜(株式会社横浜国際平和会議場)総務部担当部長兼DX推進担当佐藤利幸氏は、当時を次のように振り返る。
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総務部担当部長兼 DX 推進担当佐藤利幸氏
「『協議事項』という、解決すべき課題が積みあがっていきました。机上では同じことを話していると思っていても、実際の画面を見ると解釈が異なっていたこともありました。本業をこなしつつ、課題について社内で別に検討するという状況でなかなか大変でした。大変ではあったのですが、画面を見ながら議論できたおかげで、早い段階からお互いのギャップを認識できたことはとてもよかったと思います。」
クラウドネイティブ開発により高品質なシステムをスピード構築
今回のシステム構築ではパブリッククラウドであるAWS 上で各種機能・サービスを部品として活用するクラウドネイティブ開発によりデータ保管の認証やセキュリティ、インフラ回りの冗長性や負荷分散の担保などのさまざまな機能やサービスが部品として活用された。
このように、すでに存在する部品を用いることで個別開発を避け、スピード感ある確実なシステム構築をめざした。

図2 システム構成にはAWS のサービスや機能を有効活用
<導入の効果>申し込み手続きの顧客満足度が15%向上
Web による利用申込システムが本稼働したのは、2021 年10 月。その後実施した「CS アンケート」では、新しい利用申込プロセスに関する評価は、「大変満足」「満足」を合わせて82%に達した。以前に比べて15%も向上した。
「Web 化により、いつでもどこでも手続きできるようになったことを喜んでいただけたのだと思います」(佐藤氏)
パシフィコ横浜内部での業務効率化も大幅に進んだ。
まずは、Web 化に伴う押印の廃止により、申し込みに必要なワークフローが簡素化され、早期の契約成立が可能になり、お客様、パシフィコ横浜の双方にとってメリットとなった。特に、紙書類への押印を廃止したことは、コロナ禍でお客様の担当者が思うように出社できなくなっていたこともあり、同時にニューノーマルに対応することもできた。
また、十数種類の書類から構成される指示書の統合およびその発行が実現できた。新システムでは、書類の並び順にも配慮しながらリアルタイムでまとめあげ、協力会社に対して配布することができるようになった。難易度の高い開発だったが、JBアジャイルならではのイテレーションで何度も確認しながら作り上げたことが功を奏し、満足いくものに仕上げることができたという。
そして、新しいシステムでは、ユーザーページを通じて、「CS アンケート」が自動送信される。これにより、イベント終了後、担当者の記憶の新しいうちにお客様の声が把握でき、間を置かずに要望へ対応できるようになった。
<今後の展望>機能改善、基幹システム統合、データ利活用と、DXロードマップは続く
今回の開発は、お客様接点として最も上流といえる申し込み手続きを対象としたDX だった。今後、パシフィコ横浜では、予約管理など下流に位置する別業務の機能改善を図っていく。その先では、見積書/ 請求書発行処理などを含む基幹システムとユーザーページとの統合、蓄積したデータの利活用など視野にいれており、DX ロードマップは続いていく。
「イベント開催に関わる業界は、これまで往々にして労働集約的な側面がありました。当社は、そのようなビジネスプロセスにメスを入れてやり方を変革し、業界全体のDX に貢献していきたいと考えています」
こう語る佐藤氏。業界変革を先導するパシフィコ横浜を、JBCCはJBアジャイルでどこまでも伴走していく。
JBCC担当営業のコメント
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第三事業部 広域第二営業部 前橋 雄太朗
旧態依然とした業務体系であるMICE業界において、業界のDXを牽引していきたいというパシフィコ横浜様の想いに呼応するJBアジャイル。。。難易度が高い案件でしたが、無事サービスインを迎えることができて嬉しく思います。今回パブリッククラウドの部品をフル活用しています。分かりやすいUI、迅速な構築、盤石な稼働基盤を実現する為に「JB アジャイル」と「パブリッククラウドの部品活用」は無くてはならない要素でした。別のお客様の課題解決にも役立つ手法であります。多くのお客様へ価値をお届けできるよう営業担当として活動を強化していきたいと考えています。
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利用申込システムをJBアジャイルでクラウド上に構築し顧客満足度向上を実現
超高速開発により、利用申込システムをAWS上に構築お客様接点を完全Web 化し満足度約15% 向上、MICE業界のDX化を推進
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