フィンテック"前給サービス"をクラウドへ全面移行 ―高度なマネージドセキュリティ対策を実装―
左から企画制作部長 今井 哲郎氏 |
きらぼしテック株式会社 様 発足: 2017年11月1日 所在地:東京都港区南青山3-10-43 事業内容: コンピューターシステムおよびアプリを含むソフトウェアの企画、開発、供与、販売。インターネットやアプリ/ソフトウェアを利用した各種情報収集及び情報活用の企画など |
導入前の課題 |
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導入後の効果 |
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目次 |
<導入の経緯> オンプレミスのシステムでは拡張性や運用・管理工数が課題に
きらぼし銀行では、契約している企業の従業員が給料日前に働いた範囲内でお金を受け取ることができる「前給」サービスを提供している。このサービスは、主にアルバイトやパート、派遣社員を対象としており、導入企業にとって、人手不足の解消や人材の定着、働く意欲を向上するといった効果が見込める。契約社数は800社超、年間取引は100万件を超えるサービスだ。(2021年3月末実績)
この「前給」サービスのシステム(前給システム)はオンプレミスのプラットフォーム上に構築されており、現在きらぼしテックが運用・管理を行っている。 |
代表取締役会長 |
「"前給システム"は、16年以上前に作られたシステムがもとになっています。そのため、プラットフォームの拡張性や運用・管理工数が課題となっていました」と語るのは、代表取締役社長の石原邦浩氏。
前給システムのように、業務システムをオンプレミスで構築するケースは多い。独自のセキュリティ対策ができ、カスタマイズなどの自由度が高いというメリットがあるからだ。一方で、さまざまな課題がある。例えば、耐障害性を高めるために冗長化したり、BCP対策を実施したりする必要があるということ。また、需要の増加に柔軟に対応できないため、ピーク時に併せてサイジングしなければならない点も課題だ。さらに、管理・運用負荷が大きく、そのために技術力の高いスタッフの確保が必要となる。こういった課題が重くのしかかってきた。
「当社のメンバーは40名ほど。そのスタッフが業務システムの管理・運用といったノンコア業務に手を取られている状況でした。新しいビジネスモデルやお客様に提供するサービスで勝負するコア業務に集中できるよう、アウトソースできる部分はどんどんしていこうと考えました」(石原氏)。
そこできらぼしテックでは、前給システムをパブリッククラウドに移行することを決めた。
<導入のポイント> 構築実績やわかりやすいサービスメニューを高く評価
「まずは、パブリッククラウドの選択から着手しました。金融機関は、さまざまなセキュリティ基準に準拠しなければならないし、リスクの低減も考える必要があります。そこで、国内にデータセンターがあることや金融機関での導入実績などを考慮し、Microsoft Azureに決めました」と企画制作部長の今井哲郎氏は振り返る。 パブリッククラウドの構築には、ベンダーの協力が不可欠。次に、その構築を担うベンダーの選定が行われた。 「多くの実績を持ち、グローバル展開しているベンダーにクラウド基盤の構築作業を依頼する方法もあります。しかし、大規模でのベストプラクティスをそのまま当社に適応してしまうと、負荷増になりかねません。それだけにベンダーの選定には苦労しました」(石原氏) そこで、パブリッククラウドの構築実績も多く、金融機関に求められるセキュリティ監査を含むサービスメニューが用意されていたJBCCに白羽の矢が立ったのだ。 |
代表取締役社長 |
「JBCCはサービスがメニュー化されていてわかりやすく、機能とコストのバランスが理想的でした。またクラウドならではのセキュリティ考慮点をしっかりサポートしていました。」(今井氏)
さらにJBCCの顧客基盤がきらぼし銀行と同様の中堅・中小規模企業が中心という点も評価された。
「前給システムは小さな業務システムですが、お客様のニーズを深く理解した上で構築できるベンダーに任せたいと思っていました。その点JBCCは、当社と顧客基盤も近く、同じ目線で伴走してもらえそうだと感じました」(石原氏)
<導入の効果>セキュリティの支援もJBCCが実施
Microsoft Azureの構築はスムーズに進んだ。 「前給システムのサービスインの時期が決まっていたため、短期間での構築となりました。アプリケーションの移行は別プロジェクトで進めており、基盤部分は先に構築する必要がありました。そういった問題もJBCCが専門の技術者を配置し、全体をコーディネイトしたことでクリアでき、スムーズに移行作業が進みました」(今井氏) そうして前給システムの基盤が構築された。 「前給システムの構築中、テスト環境で本番環境と同様のサーバーリソースが必要になりました。オンプレミスでやろうとすると、サーバーの手配や構築などで時間と工数がかかりスケジュールが遅延します。しかし、クラウドの場合、必要に応じて柔軟にリソースを用意できるため、スケジュール通りに進めることができ、クラウドの実力を感じました」(今井氏) |
企画制作部長 |
クラウドのセキュリティ設定に関しても、世界標準のコンプライアンス基準で定期監査し、設定漏れやミスも防止。いつ、どこで、誰が、なにをしたのか、といったすべての操作をシステム上で記録することで、セキュリティやIT統制なども実現した。
「JBCCは基盤構築に加え、セキュリティなどもトータルで支援してもらえるので非常に助かっています」(今井氏)
きらぼし銀行が金融サービスを安心して提供できるように、JBCCがクラウド基盤とセキュリティの両方の運用を24/365体制で支援している。きらぼしテックはコア業務に集中でき、新しい金融サービスの開発などに注力できるようになった。
<今後の展望>デジタルマネー・デジタルウォレット機能を持つアプリとの連携も視野に
「目指しているのはビジネス的な広がりです。この前給システムを活用したプロジェクトも動き始めています」と石原氏。
たとえば、前給システムは他行にOEM提供をしており、地方銀行にとっては新しい顧客獲得のツールとして活用されている。今後全国の地方銀行に展開することを展望しているが、それに伴い必要となるサーバーのリソースについては、利用実績や必要性に応じて最小限のコストに抑えながらワークロードを実行出来ることで、迅速な対応と管理が可能となるといった、クラウド基盤に移行したメリットが早くも出始めている。
前給システムをさらに活用するため、デジタルマネー・デジタルウォレット機能や決済手段を備えた「ララQ」アプリのサービス開始も予定されている。「ララQ」によって多くの顧客セグメントへアプローチできるようになることに加え、地銀連携によるチャネルの拡大とのシナジー効果が期待できそうだ。
「今回はクラウド基盤の技術領域での支援でしたが、今後はアプリケーション開発やオプティマイゼーションの領域などJBCCの総合力に期待しています。」(石原氏)
フィンテックにより金融機関の規制が緩和され、金融機関が多くのことにチャレンジできる土壌ができつつある。クラウド基盤を活用することで、ビジネス機会を創出しているきらぼしテックの事例は、ほかの地方銀行やDXを推進している企業にとっても参考になる部分が多い。
本日は貴重なお話しをありがとうございました。
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