労働基準法改正案、厚労省が2026年提出見送りへ|企業が今から備えるべきポイントを解説
- 労働基準法改正が検討されている背景と、議論されている主な改正ポイント
- 改正が実現した場合に企業に想定される、人件費増加・勤怠管理の複雑化・労務リスク拡大などの影響
- 将来の法改正を見据えて、企業が今から取り組むべき実践的な準備ステップと、勤怠管理を効率化する考え方
労働基準法の改正とは、企業と労働者の間で定められている労働条件を、社会環境や働き方の変化に合わせて見直す取り組みです。現在、厚生労働省の審議会などを中心に、労働時間や休息のルール、多様な働き方への対応を含む制度見直しが検討されています。ただし、改正内容や施行時期は現時点では確定しておらず、議論が続いています。
一方で、検討されている内容は、労務管理や人員配置、コスト構造など、企業経営に幅広い影響を及ぼす可能性があります。そのため、法改正が正式に決定してから対応を始めるのではなく、改正の方向性を正しく理解し、早い段階から備えておくことが重要です。
本記事では、労働基準法改正が検討されている背景や主な改正ポイント、企業に想定される具体的な影響について解説します。あわせて、法改正に向けて企業が今から取り組むべき準備や、勤怠管理を効率化するための考え方についても紹介します。
労働基準法改正が進められている背景
労働基準法改正とは、企業と労働者の間で最低限満たすべき労働条件を、時代の変化に合わせて見直す取り組みです。
現在(2025年12月26日時点)、厚生労働省は労働基準法改正案について、2026年の通常国会への提出を見送る方針を表明しています。 これは高市早苗首相が、現行の労働時間規制について「心身の健康維持と従業者の選択を前提」に、緩和の検討を指示したためです。指示を受け、厚生労働省は、来年の通常国会への労働基準法改正案の提出を見送る方針を固めています。
上野厚生労働大臣も会見で、「2026年の通常国会での法案提出は現在のところ考えていない。審議会や分科会の議論を踏まえて必要な改革を進めていく」と述べており、法案提出時期は今後の議論次第となっています。
一方で、有識者による議論や検討はすでに本格化しています。内容の一部修正や施行時期の前後は想定されるものの、同趣旨の制度見直しが中長期的な課題として検討されている状況です。 企業には、こうした動向を把握し、改正を見据えた労務管理体制の見直しを段階的に進めていくことが求められています。
労働基準法改正で押さえておくべきポイント
厚生労働省が公表している「労働基準関係法制研究会報告書」では、今後の労働基準法改正の方向性が詳しく示されています。これらの内容は今後の法改正を見据え、早い段階から把握しておくことが重要です。
ここでは、報告書の内容をもとに、企業が特に押さえておくべき主な改正ポイントを整理して解説します。
なお、法案提出時期は現時点では未定ですが、政府内では労働市場改革を巡る議論が継続されており、今後の検討状況次第で制度見直しが進む可能性があります。
参考:厚生労働省「労働基準関係法制研究会報告書」
1.労働時間・休息に関する見直し
まずは、労働時間・休息に関する主な改正ポイントを詳しく解説します。今回の改正では、長時間労働の抑制と、労働者の十分な休息確保を目的として、複数の制度見直しが検討されています。
14日以上の連続勤務の禁止(上限13日まで)
現行の労働基準法では、法定休日として「1週間につき1日以上の休日」を付与することが義務付けられています。加えて、週休1日の確保が難しい場合には、「4週間を通じて4日の休日を付与すればよい」とする特例(いわゆる4週4日制)が認められています。
しかし、この4週4日制を採用した場合、運用次第では最長48日間の連続勤務が可能となり、長時間・長期間労働による健康リスクが指摘されてきました。こうした課題を踏まえ、今回の改正では以下の見直しが検討されています。
- 休日付与の特例を「4週4日制」から「2週2日制」へ変更
- 連続勤務日数を14日以上禁止し、上限を13日までとする
法定休日の特定を義務化
法定休日は、労働者の健康確保や生活リズムの維持に欠かせない制度です。現行の労働基準法では「週1日以上の休日」を付与する義務はあるものの、どの日を法定休日とするかを事前に特定する義務はありません。
そのため、週休2日制を採用している企業では、法定休日と法定外休日の区別が曖昧になりやすく、実務上の課題が生じやすい状況にあります。具体的には、以下のような問題が指摘されています。
- 休日労働が発生した際に割増賃金の算定が複雑になりやすい
- シフト勤務や変形労働時間制では、休日設定がさらに煩雑になる
こうした状況を踏まえ、今回の改正では、法定休日をあらかじめ特定することを義務化し、勤務形態に応じて柔軟に設定できるルールを整備する方向で検討が進められています。
勤務間インターバルを原則11時間に義務化
今回の改正では、勤務間インターバル制度を努力義務から義務へと引き上げ、原則として11時間の休息時間を確保することが検討されています。この時間基準は、ヨーロッパ諸国の制度を参考に設定されています。
勤務間インターバル制度は2019年4月に導入されましたが、努力義務にとどまっていたことから、十分に普及しているとはいえない状況でした。その結果、長時間労働が常態化し、労働者の健康や福祉を十分に守れていない点が課題とされています。
こうした背景を受け、労働基準関係法制研究会の報告書では、制度の実効性を高めるため、勤務間インターバルの義務化と具体的な時間基準の明確化が提言されました。
法定労働時間週44時間の特例措置の撤廃
法定労働時間は、原則として週40時間と定められています。ただし、特定の業種においては、常時10人未満の小規模事業場に限り、週44時間まで労働を認める特例措置が設けられてきました。
この常時10人未満という要件は、企業全体ではなく事業場単位で判断されます。そのため、支店や営業所ごとに条件を満たせば特例を適用できる仕組みとなっています。しかし、制度が分かりにくく、管理負担が大きいことから、実務上は十分に活用されていないケースも少なくありません。
こうした状況を踏まえ、今回の改正では法定労働時間を週40時間に統一する方向で検討が進められています。
2.多様な働き方に対応するための見直し
近年、副業・兼業やフリーランスなど、多様な働き方が社会に広く浸透しています。一方で、現行の労働基準法は、1つの企業にフルタイムで勤務する従来型の雇用モデルを前提として制度設計されてきました。
その結果、現在の働き方の実態と法制度との間にズレが生じており、適切な保護や公平なルール運用が難しくなっている点が課題とされています。こうした背景を踏まえ、労働基準法の見直しに向けて、多様な働き方に対応するための制度改正が検討されています。
主な改正ポイントは以下の3つです。
- 「通常賃金方式」の採用
- 副業・兼業者の割増賃金ルールの見直し
- 労働者の定義の見直し
「通常賃金方式」の採用
年次有給休暇を取得した際の賃金算定方式には、平均賃金方式・通常賃金方式・標準報酬日額方式の3つがあります。企業は、これらの中からいずれかの方式を選択できます。
しかし、平均賃金方式や標準報酬日額方式では、日給制や時給制で働く労働者の場合、実際の賃金水準よりも低く算定されるケースがあり、不利益が生じる可能性が指摘されてきました。特に、勤務日数や労働時間にばらつきがある働き方では、算定結果に差が生じやすい点が課題です。
こうした問題を踏まえ、年次有給休暇取得時の賃金については、「通常賃金方式」で統一する方向で検討が進められています。 通常賃金方式を採用することで、労働者にとって分かりやすく、公平性の高い運用が期待されます。
副業・兼業者の割増賃金ルールの見直し
現在、副業・兼業者の割増賃金は、本業と副業の労働時間を通算して計算する「通算管理」が一般的です。しかし、通算管理には以下の課題があります。
- 副業先の労働時間を正確に把握することが難しい
- 割増賃金の計算が複雑化し、企業の事務負担が大きい
- その結果、副業・兼業を認めること自体のハードルが高くなる
こうした問題を踏まえ、割増賃金に関する労働時間の通算ルールを廃止する方向で議論が進められています。副業・兼業を促進しつつ、企業と労働者双方の負担を軽減することが主な狙いです。
なお、割増賃金の算定ルールが見直された場合でも、労働者の健康確保を目的とした労働時間の把握や管理の重要性は変わりません。企業には、引き続き適切な労働時間管理が求められます。
労働者の定義の見直し
今回の改正案では、プラットフォームワーカー(オンラインプラットフォームを通じて仕事を受注しサービスを提供する人)など新しい働き方を保護する観点から、労働者の定義についても見直しが検討されています。
具体的には、次のような対応が議論されています。
- 労働者の定義を見直す
- 新たな法的カテゴリーを設ける
これまで業務委託として扱われてきた働き方でも、実態として指揮命令関係が認められる場合は、改正後に労働者と判断される可能性があります。 その場合、最低賃金や社会保険への加入義務、労働時間規制などが適用される点には注意が必要です。
労働者の定義を改めて見直すことは、多様な働き方が広がる社会に対応するために不可欠です。一方で、企業側には、契約管理の見直しや新たな労務リスクへの対応が求められます。
3.「つながらない権利」のガイドライン策定
「つながらない権利」とは、労働時間外に業務上のメールや電話、チャットなどへの対応を拒否できる権利を指します。労働者のワークライフバランス確保に重要な考え方ですが、日本では現時点で明確な法的ガイドラインが整備されていません。
そのため、勤務時間外や休日であっても業務連絡が頻繁に入り、労働者が十分な休息を確保できない状況が生じやすい点が課題とされています。 特に、テレワークの普及やスマートフォンの常態化により、仕事と私生活の境界が曖昧になっていることも、この問題を深刻化させている要因の一つです。
こうした状況を踏まえ、今回の改正では、「つながらない権利」を踏まえた社内ルールやガイドラインの策定を企業に推奨する方向で検討が進められています。企業には、業務連絡のルールや対応時間の目安を明確にし、従業員が安心して休息を取れる環境を整備することが求められるでしょう。
労働基準法改正が企業に与える影響
今回の改正は、企業にさまざまな影響を及ぼすことが懸念されています。想定されている主な影響は以下の4つです。
- 人件費の増加
- 勤怠管理の複雑化
- 業務プロセスの見直し
- 運用ルール不備による労務リスクの高まり
それぞれの内容について、詳しく見ていきましょう。
人件費の増加
まず想定される影響が、人件費の増加です。 週44時間特例の撤廃や残業代計算ルールの見直しが実施された場合、これまで特例を利用していた企業では、週40時間を超える労働がすべて時間外労働として扱われる可能性があります。
その結果、割増賃金の支払いが増加し、人件費の負担が大きくなるでしょう。加えて、連続勤務日数の上限が設けられることで、従来の人員配置では業務が回らなくなるケースも考えられます。
特にシフト制を採用している企業では、新規採用や人員の再配置を検討せざるを得ない場面が増える可能性があります。人件費への影響は業種や企業規模によって異なるため、自社の労働時間実態や人員配置を踏まえ、事前にシミュレーションしておくことが重要です。
勤怠管理の複雑化
労働時間が規制されることで、勤怠管理業務の複雑化も避けられません。人事担当者には、従来以上に多岐にわたる管理項目への対応が求められます。
具体的には、次のような管理が必要になります。
- 勤務間インターバルの遵守状況の確認
- 13日を超えない連続勤務日数の管理
- 法定休日の特定と休日労働時の割増賃金の正確な計算
- 副業者の労働時間管理
- 管理職を含む全従業員の労働時間の客観的把握
これらの対応をすべてExcelや手作業で行うのは現実的ではありません。確認漏れや計算ミスが発生するリスクも高まるため、勤怠管理システムの活用が有効です。管理負担を軽減できるだけでなく、法令遵守の確実性を高める効果も期待できます。
業務プロセスの見直し
労働時間の制約が強まることで、長時間労働によって業務量を補う従来の運用は通用しなくなります。今後は「限られた時間の中で、いかに成果を最大化するか」が企業全体の課題となるでしょう。
この問題は、人事・労務部門だけで完結するものではなく、経営戦略そのものに直結します。そのため、全社的な視点で業務プロセスを見直すことが不可欠です。
具体的には、次のような部門横断的な取り組みが求められます。
- 業務の自動化
- 会議や承認フローの削減
- 情報共有の効率化
- 多能工化の推進
- 不採算事業の見直し
業務プロセスを見直すことで、働き方の改善と生産性向上を両立し、企業競争力の強化につなげることができます。
運用ルール不備による労務リスクの高まり
特に中小企業では、運用ルールが曖昧なまま業務が行われているケースも少なくありません。たとえば、次のような状況が見られます。
- 部署ごとに残業や休日の取り扱いが異なっている
- 現場責任者の裁量に依存した運用が行われている
これまでは大きな問題にならなかったとしても、労働時間規制が強化されることで、こうした曖昧な運用はリスクとして顕在化しやすくなります。
対応を怠った場合、是正指導や未払い残業代請求といった法的リスクにつながる可能性があります。
さらに、運用の不透明さは従業員の不信感を招き、モラル低下や離職といった組織全体への悪影響を引き起こすおそれもあるでしょう。
労働基準法改正で企業が講じるべき対応策
労働基準法の改正について、厚生労働省は2026年通常国会への法案提出を見送る方針を示しています。
しかし、これまで労働時間規制や多様な働き方への対応を中心に議論がされてきました。改正内容は労務管理にとどまらず、企業の経営や人員配置にも大きな影響を及ぼします。
ここでは、労働基準法改正に向けて企業が講じるべき対応策を「法・制度への対応」と「経営戦略」の2つの観点から解説します。
法・制度への対応
まずは、改正された法令や制度に適切に対応し、将来的な労務トラブルや法令違反のリスクを回避する必要があります。特に重要な準備が以下の4つです。
- 就業規則の見直し
- 雇用契約書や業務委託契約書の見直し・整備
- 最新の法改正に対応した勤怠管理システムの導入
- 従業員への説明・教育体制の整備
それぞれのポイントを見ていきましょう。
就業規則の見直し
改正に伴い、就業規則の見直しは避けて通れません。特に、次のような項目については、自社の実態に合わせた整理が必要です。
- 法定休日の特定(例:「法定休日は日曜日にする」など)
- 勤務間インターバル制度の導入(原則11時間の休息期間)
- 副業・兼業に関する規定の整備
- つながらない権利を考慮した規則の見直し
これらの項目を自社の実態に合わせて適切に反映し、法的にも妥当な就業規則を整備する必要があります。制度を形式的に盛り込むだけではなく、現場で無理なく運用できる内容に落とし込むことが肝心です。
また、従業員に誤解が生じないよう、規定の趣旨や運用ルールを明確にしておくことも欠かせません。労務・法務に精通した専門家(社会保険労務士や弁護士など)と連携しながら、見直しを進めることをおすすめします。
雇用契約書や業務委託契約書の見直し・整備
雇用契約書については、見直し後の就業規則の内容を正確に反映させる必要があります。これは正社員に限らず、パートやアルバイトを含むすべての雇用形態に共通して求められる対応です。
就業規則と雇用契約書の内容に齟齬がある場合、トラブル発生時に企業側が不利になる可能性があります。そのため、法改正を見据えた就業規則の見直しとあわせて、雇用契約書の内容も必ず確認・更新しましょう。
また、ギグワーカー(インターネット上のプラットフォームを通じて単発の仕事を請け負い柔軟に働く人)やフリーランスと締結する業務委託契約書の見直しも重要です。今回の改正では労働者の定義が見直される可能性があります。業務委託であっても、実態として指揮命令関係が認められる場合には、労働者と判断されるリスクがあります。
業務委託契約書では、指揮命令関係が存在しないことを明確にするとともに、業務範囲や成果物、報酬の内容などを具体的に定めておきましょう。契約内容を明確化することで、偽装請負に関するトラブルを未然に防止できます。
最新の法改正に対応した勤怠管理システムの導入
従業員の労働時間や勤務間インターバルなどを、すべて手作業で管理・把握するのは現実的ではありません。法改正によって管理項目が増えるほど、確認漏れや計算ミスが発生するリスクも高まります。
こうした課題に対する、最も現実的かつ効果的な解決策が、最新の法改正に対応したクラウド型勤怠管理システムの導入です。勤怠管理システムを活用することで、労働時間の集計やチェックを自動化でき、法改正への対応漏れや割増賃金計算のミスを防止できます。
人事担当者の業務負担を大幅に軽減できるだけでなく、労働時間を客観的に管理できる体制を整えることで、コンプライアンス遵守の強化にもつながります。法改正をきっかけに、勤怠管理体制そのものを見直すことがポイントです。
従業員への説明・教育体制の整備
「つながらない権利に関するガイドライン」をはじめとした新たな制度やルールについては、社内掲示や資料の配布だけでは十分とはいえません。 内容を正しく理解してもらうためには、必要に応じて従業員へ直接説明する機会を設けることが重要です。
また、制度を形だけ導入しても、現場で運用されなければ意味がありません。制度を定着させるためには、従業員一人ひとりの意識改革と、継続的な教育が欠かせません。
特に管理職や現場責任者が制度の趣旨を正しく理解し、率先して実践することで、全社的な浸透が進みやすくなります。
経営戦略
労働基準法改正は、労務管理の問題にとどまらず、企業全体の運営方針や成長戦略にも影響を与えます。ここでは、法改正を前提とした経営戦略の考え方について見ていきましょう。
グループ会社も含めたルール統一
グループ会社や子会社、複数の支店・営業所を有する企業においても、就業規則の作成・変更・届出は原則として事業場単位で行う必要があります。
一方で、テレワークの普及やデジタルデバイスの活用が進み、従業員が必ずしも特定の事業場で勤務しない働き方が一般化しつつあります。こうした状況を踏まえると、就業規則を事業場単位だけでなく、企業全体の視点で整理する必要性が高まっています。
企業単位でルールの統一を図る場合には、全社共通の基本方針を明確にしたうえで、各事業場の業務内容や勤務形態の実情を踏まえた運用が欠かせません。その際、法改正対応を目的としたプロジェクトチームを立ち上げ、情報を集約できる体制を整備することが有効です。
収支計画の見直し
労働基準法改正に対応するためには、まず自社の収支状況を正確に把握することが重要です。法改正によって、割増賃金の増加や必要人員数の変化がどの程度発生するのかを、具体的にシミュレーションする必要があります。
シミュレーションによって算出した数値は、単なるコスト増加の把握にとどまりません。業務プロセスの見直しや人員配置の再検討が必要かどうかを判断するための、重要な材料となります。新たな収支計画や予算を策定する際にも役立ちます。
さらに、中長期的な経営計画を見直すことで、法改正による影響を抑えつつ、安定した事業運営につなげることができます。
人員配置計画の策定
現行の人員配置のままでは、労働基準法改正後に業務が円滑に回らなくなる可能性があります。そのため、早い段階から人員配置計画を見直すことが重要です。具体的には、以下の3点を検討しましょう。
- 現状の業務量と人員配置を再検証し、ボトルネックを特定する
- 特定の従業員に負荷が集中しないよう、柔軟なシフト体制を構築する
- 中長期的な視点で新たな採用計画を策定する
中長期的な視点で人員体制を整えることで、法改正後も無理のない人員体制を維持し、安定した事業運営につなげられます。
労働基準法改正に向けた準備の進め方
ここまで解説してきたとおり、労働基準法改正に向けて企業が対応すべき事項は多岐にわたります。 効率的かつ確実に準備を進めるためには、場当たり的な対応ではなく、段階的に取り組むことが重要です。
具体的には、以下の流れで進めることをおすすめします。
- 現状を把握する
- 問題点を洗い出す
- 小さな改善から進めていく
- 専門家との協働を検討する
それぞれのポイントを解説します。
1.現状を把握する
現在の労務管理の実態を、正しく把握することから始めます。 いきなり就業規則を書き換えたり、新たな制度を導入したりする必要はありません。
まずは、次のような項目について現状を確認しましょう。
- 就業規則(労働時間・休日・休憩・残業・管理職の扱い)
- 36協定(特別条項の有無・上限時間)
- シフト表・タイムカード・勤怠データ
- 管理職(店長・リーダーなど)の働き方の実態
この段階では、すべてを完璧に洗い出す必要はありません。リスクがありそうな箇所に目星を付け、全体像を把握することが重要です。
2.問題点を洗い出す
現状把握を進めると、労務管理上の問題点やリスクが徐々に見えてきます。たとえば、次のようなケースが挙げられます。
- 勤務間インターバルが十分に確保されていない部署がある
- 繁忙期に10連勤以上が発生している可能性がある
- 管理職の残業時間が一般社員よりも長くなっている
ここでは、「どこにリスクが潜んでいるのか」「どの業務や部署に負荷が集中しているのか」といった点を把握することが重要です。問題点を整理することで、優先的に対応すべき課題が明らかになり、次の改善ステップにつなげやすくなります。
3.小さな改善から進めていく
問題点が見えてきたからといって、最初から完璧な制度を整備する必要はありません。まずは、現場レベルで実行できる小さな改善から着手しましょう。
たとえば、次のような取り組みが考えられます。
- 22時以降の業務チャットは原則「送らない・見ない」
- 月1回、連続勤務日数をチェックする時間を設ける
- 管理職にもタイムカードを打刻してもらう
これらの取り組みをまずは3か月程度試行し、うまく機能した点、運用が難しかった点を整理したうえで全社展開を検討します。小さな改善を積み重ねることで、現場の負担を抑えながら制度を定着させることができます。
4.専門家との協働を検討する
インターバル制度や休日管理、管理職の労働時間、フレックス制度、フリーランスの扱いなどは、労務・法令・経営が複雑に絡み合う領域です。そのため、専門家と連携しながら自社に最適な仕組みを設計することをおすすめします。
協働を検討すべき主な専門家は、以下のとおりです。
- 社会保険労務士(労働時間、残業、社会保険など労務の専門家)
- 行政書士(規程・契約書・許認可などの法令文書の専門家)
- 中小企業診断士(人員配置、組織、事業運営など経営の専門家)
専門家の力を借りることで、法令遵守を前提としながら、自社の実情に即した制度設計が可能になります。将来的な労務トラブルの予防にもつながるでしょう。
改正労働基準法への対応は「勤怠管理の自動化」が最短ルート
労働基準法の見直しに向けた議論が進む中、労働時間の正確な把握や残業時間・休暇管理の厳格化が、企業にとってより重要なテーマとなっています。対応が遅れた場合、是正勧告や未払い残業代の発生、労務トラブルの増加、企業イメージの低下といった経営リスクにつながりかねません。
こうした改正への対応を効率的に進める手段の一つが、勤怠管理の自動化です。手作業による管理では限界がある中、システムを活用することで、管理負担の軽減と法令遵守の両立が可能になります。
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