サイバー攻撃から企業を守る!EDRとは|仕組みと効果を解説
サイバー攻撃の高度化に伴い、従来のセキュリティ対策では対応しきれない新たな脅威が増加しています。この課題に対する強力な解決策として注目を集めているのが、エンドポイントでの異常検知や迅速な対応、詳細な分析を可能にする最新のセキュリティ技術「EDR」(Endpoint Detection and Response)です。本記事では、EDRの仕組みと効果、関連技術との違い、導入のメリットなどを徹底解説し、変化するサイバー攻撃から企業を守るEDRの実力に迫ります。
EDRとは
近年のサイバー攻撃の複雑化に伴い、従来のセキュリティ対策では対応しきれない新たな脅威が生まれています。それらの脅威に対する強力なセキュリティ対策として、EDR(Endpoint Detection and Response)が注目されています。
EDRとはエンドポイントセキュリティの最新技術の一つで、サイバー攻撃が防ぎきれない事を前提として、エンドポイントでの異常な挙動を検知し、検知した脅威に迅速に対応し、セキュリティインシデントの調査と分析を支援します。EDRの導入により、企業のセキュリティ体制は強化され、サイバー攻撃によるダメージを最小限に抑えることを可能とします。
EDRの仕組みと機能
EDRは、①検知、②隔離、③調査、④復旧という4つのプロセスから構成されています。具体的には、エンドポイントデバイスを常時監視し、通常とは異なる動作や不審な動作などを検知し、マルウェアに感染した端末をネットワークから隔離します。その後、収集したログデータを分析し、進入経路や感染の範囲、影響を特定した後、マルウェアを除去し、システムを復旧していきます。さらに調査結果を活用し、同様の攻撃に対するセキュリティをの強化することもできるソリューションとなります。
主な機能として、エンドポイントの動作を常時監視し、異常を即座に検知する「リアルタイム監視」、プロセスやユーザーの行動パターンを分析し、不審な活動を特定する「行動分析」、検知された脅威に対して、迅速かつ適切な対応をする「インシデント対応」、セキュリティインシデントの詳細な調査と分析をサポートする「フォレンジック分析」、セキュリティ状況や脅威の傾向に関する詳細なレポートを提供する「レポーティング」などがあります。これらの機能により、EDRは従来のセキュリティ対策では防ぎきれない高度な脅威にも効果的に対処することができるのです。
NGAVやEPPとEDRとの役割の違い
EDRは、NGAV(Next-Generation Antivirus)やEPP(Endpoint Protection Platform)と比較されることがあります。それぞれの特徴についてみてきましょう。
EDRは感染後の被害を最小限に抑えることを目的とし、リアルタイムの挙動分析や高度な脅威の検知と対応、インシデントの詳細な調査と分析、セキュリティチームの対応サポートに特化しています。
一方、マルウェアの侵入を防ぐことを目的としているのがNGAVやEPPです。NGAVは従来型のアンチウイルスソフトを進化させたもので、機械学習やAIを活用して未知のマルウェアも検出できます。主に未知のマルウェアの検出と防御に焦点を当てており、EDRのような包括的な監視や詳細な分析機能は限定的となります。
EPPは、従来型のアンチウイルス、ファイアウォール、データ暗号化などの機能を統合したプラットフォームで、既知の脅威に対する予防的な保護を提供します。最近では、未知のマルウェアに対応できる高性能なEPP製品も登場しています。
これらのソリューションはいずれもエンドポイントセキュリティの保護を目的としていますが、大きな違いはその「目的」です。NGAVやEPPはマルウェアに感染しないようにすることを主な目的としています。NGAVやEPPで全ての脅威を検知・駆除できればいいのですが、中にはNGAVやEPPをすり抜けてしまう脅威もあります。EDRはそうして侵入・感染した端末の事後対策を主目的としているのです。
そのため、多くの企業ではこれらのソリューションを組み合わせ、より強固なセキュリティ体制を構築しています。つまりEDRは、NGAVやEPPを補完し、より高度な脅威への対応を可能にする重要なソリューションとなっているのです。
NDRやXDRとEDRとの違い
NDR(Network Detection and Response)とXDR(Extended Detection and Response)につてついても、EDRの関連技術として広く認知されています。NDRやXDR、EDRは、それぞれ脅威を検知する対象やその範囲、仕組みが異なっています。
NDRはネットワークトラフィックを分析し、異常や脅威を検知・対応するソリューションで、ネットワーク全体を監視します。XDRはエンドポイント、ネットワーク、クラウドなど複数のセキュリティレイヤーからデータを収集・分析します。
EDR | NDR | XDR | |
---|---|---|---|
対象 | エンドポイント(コンピューターやデバイス) | ネットワーク | 複数のセキュリティ領域(ネットワーク、エンドポイント、クラウド、電子メールなど) |
目的 | ネットワーク内部の脅威や異常の早期検出 | ネットワーク内部の脅威や異常の早期検出 | ネットワーク内部の脅威や異常の早期検出 |
機能 | エンドポイントの異常検出、対応、フォレンジック | ネットワークの異常検出、対応、フォレンジック | 異常検出、対応、フォレンジックを複数のセキュリティ領域で統合的に実行 |
異常検出方法 | 機械学習、ヒューリスティック、シグネチャベース | 機械学習、データ分析 | 機械学習、アナリティクス、ヒューリスティック、シグネチャベース |
導入に必要なツールや設定 | エンドポイント(端末)へのエージェントのインストール | ネットワーク機器(スイッチ)のパケットミラーリング | パケットミラーリング,エージェントのインストール |
攻撃された対象の復旧 | 一部可能 | 不可能 | 一部可能 |
NDRやXDRについても、それぞれの特性に応じてEDRと適切に組み合わせることで、より強固で効果的なセキュリティ体制を構築できます。
【関連記事】NDRの仕組みとは?EDRやXDRとの違いも紹介
EDRが注目される背景
EDRが注目される背景には、サイバー攻撃の高度化と多様化があります。攻撃者の手法が日々進化し、標的型攻撃が増加しているため、従来のシグネチャベースの防御では検知が困難になっています。また、内部脅威への対応やコンプライアンス要件の厳格化、リモートワークの普及、クラウド利用の拡大など、企業を取り巻くセキュリティ環境が大きく変化していることも関係しています。EDRは、これらの課題に対応できる柔軟性と高度な機能を持っているため、現代のサイバーセキュリティにおいて不可欠なツールとして注目を集めています。
EDRのメリットや導入の効果
EDRの導入には多くのメリットがあります。たとえば、高度な脅威検知能力やリアルタイムの監視と対応、詳細な調査と分析機能により、未知の脅威や高度な攻撃に効果的に対処できます。また、自動化された対応やセキュリティ運用の効率化、コンプライアンス対応の支援など、企業のセキュリティ体制を総合的に強化することもできるようになります。
EDRを導入すれば、企業はセキュリティ体制を大幅に強化し、サイバー攻撃のリスクを低減できるようになるのです。
EDRの選定と運用のポイント
EDRを導入・運用する際は、自社の環境に適したソリューションを導入する必要があります。また目的に応じて、NGAVやEPPなどと併用したり、NDR、XDRなどの導入を検討したりする必要もあるでしょう。
しかし実際にEDRの検討・導入・運用までを、自社だけで対応しようとすると大きな負担になります。各種ツールに関する知識やセキュリティに関するノウハウなどを持つ企業が提供するマネージドサービスを活用することで、その負担を大きく軽減することができます。
JBCCが提供するマネージドサービスは、セキュリティ製品の導入から運用まで包括的にサポートし、お客様のセキュリティ体制の強化を支援します。
マネージドサービス for EDR Plus
JBCCが提供するマネージドサービスの中で、EDRの導入から運用まで担うのが「マネージドサービス for EDR Plus」です。 エンドポイントのセキュリティ対策として重要な、マルウェアの"感染の防御"と"攻撃の予兆検知・事後対応"における運用をご支援します。
専門家によるきめ細かなサポートにより、EDRの効果を最大限に引き出すことができるのです。
自社の環境や要件に合わせて最適なセキュリティソリューションを選択し、効果的に活用することが、強固なセキュリティ体制の構築につながります。サイバー攻撃が進化し続ける現代において、もっとも狙われやすいエンドポイントのセキュリティ対策となるEDRは、企業のデジタル資産を守る重要な防御策となるでしょう。
企業のIT活用をトータルサービスで全国各地よりサポートします。
JBCC株式会社は、クラウド・セキュリティ・超高速開発を中心に、システムの設計から構築・運用までを一貫して手掛けるITサービス企業です。DXを最速で実現させ、変革を支援するために、技術と熱い想いで、お客様と共に挑みます。