クラウド監視とは?必要性やオンプレミスとの違い、導入のポイントを解説
クラウドサービスの導入が進むなか、システムの安定性確保、セキュリティ対策、運用コストの最適化は、企業にとって重要な課題となっています。これらの課題に効果的なのがクラウド監視です。クラウド監視を導入することで、システムの状態を一元管理し、障害の早期発見や迅速な対応が可能になります。
また、クラウド環境の特性に合わせた適切な監視体制を構築することで、パフォーマンスの最適化やセキュリティリスクの低減にもつながります。
本記事では、クラウド監視の基本概念や必要性、導入のポイントについて詳しく解説します。

クラウド監視とは?

クラウド監視とは、クラウド環境の稼働状況を常時モニタリングし、問題の早期発見と対処を行う仕組みです。システムのダウンタイムやパフォーマンスの低下は、業務の遅延や顧客満足度の低下につながる可能性があります。そのため、リアルタイムでクラウドの状態を監視し、異常を検知した際に迅速に対応できる体制が求められます。
また、クラウド監視で得たデータをもとに、セキュリティ対策の強化やシステムの最適化につなげることが可能です。
適切な監視体制を導入することで、システムの安定運用を確保し、企業のIT環境を安全かつ効率的に維持できます。
クラウド監視の対象となる3つの要素

クラウド監視では、システムの安定稼働を確保するために、さまざまな観点からクラウド環境を監視します。その中でも特に重要なのが、次の3つの要素です。
- 死活監視
- 性能監視
- プロセス監視
ここでは、クラウド監視の対象となる各要素の具体的な内容について解説します。
死活監視
クラウド環境の安定運用に欠かせないのが「死活監視」です。これは、クラウドサーバーやアプリケーションが正常に稼働しているかをリアルタイムで監視する仕組みです。
クラウドでは、予期しないサーバー停止やアプリケーションの障害が発生することがあります。これにより、業務が中断したり、サービスが利用できなくなったりする可能性があります。
死活監視を適切に行うことで、障害を素早く検知し、ダウンタイムを最小限に抑えることが可能です。また、自動復旧プロセスと連携することで、問題発生時の対応を自動化し、運用の効率化を図ることもできます。
性能監視
性能監視とは、クラウドサーバーのCPU使用率、メモリ使用量、ストレージの使用状況などのリソースをリアルタイムで監視し、システムの安定稼働を維持するための仕組みです。
クラウド環境では、サーバーに高い負荷がかかり続けると、アプリケーションの動作が遅くなったり、最悪の場合サーバーがダウンしたりする可能性があります。また、リソースが不足すると、アプリケーションが正常に動作せず、サービス提供に支障をきたすこともあります。
性能監視を適切に行うことで、リソースの過負荷を早期に発見し、必要な対策を迅速に講じることが可能になります。
さらに、リソースの使用状況を可視化することで、過剰なリソース確保を見つけ、コストの最適化にもつなげることができます。
プロセス監視
プロセス監視とは、サーバー上で動作するプロセスの稼働状況を監視し、システムが正常に機能しているかを確認する仕組みです。
プロセスとは、実行中のプログラムの単位であり、アプリケーションを構成する基本的な要素です。クラウド環境では、アプリケーションの安定稼働を維持するために、多くのプロセスがバックグラウンドで動作しています。これらのプロセスが適切に稼働しないと、アプリケーションの動作不良やシステム全体の不具合につながる可能性があります。
プロセス監視では、プロセス名、CPU使用量、メモリ使用量などの情報を取得し、負荷の高いプロセスや異常なプロセスを特定します。これにより、過剰なリソース消費を抑え、必要なプロセスの安定稼働を確保することができます。
クラウド監視が必要な理由

ここではクラウド監視が必要な理由について詳しく解説します。クラウド監視が必要とされる主な理由は、以下の3点です。
- システムを安定稼働させるため
- セキュリティリスクを低減させるため
- コストを最適化させるため
それぞれの理由を詳しく見てみましょう。
システムを安定稼働させるため
クラウド環境のシステムを安定して稼働させるためには、クラウド監視が不可欠です。システムの状態を常に把握し、異常が発生した際に迅速な対応を取ることで、業務への影響を最小限に抑えることができます。
もし障害発生時の対応が遅れると、顧客へのサービス提供が滞ったり、業務が停止したりする可能性があります。企業の信用を維持するためにも、早期に異常を検知し、適切な対策を講じることが重要です。
また、クラウド監視を活用してシステムのパフォーマンスを常時確認することで、潜在的な課題を早期に発見し、適切な改善策を講じることができます。これにより、突発的なシステムトラブルを未然に防ぎ、安定したサービス運用につなげることができます。
セキュリティリスクを低減させるため
クラウド監視は、セキュリティリスクの低減にも寄与します。クラウド環境では、多くのシステムやデータがインターネットを経由して利用されるため、不正アクセスやデータ漏洩のリスクが常に伴います。
こうしたリスクを最小限に抑えるためには、異常なアクセスや不審な挙動をリアルタイムで検知することが重要です。迅速に異常を発見し、適切な対処を行うことで、問題の拡大を予防できます。
ただし、クラウド監視だけでセキュリティリスクを完全に排除することは難しいため、セキュリティサービスとの併用が欠かせません。ファイアウォール、IDS/IPS(不正侵入検知・防御システム)、ゼロトラストセキュリティなどの仕組みと組み合わせ、多層的な防御体制を構築することで、より強固なセキュリティを実現できます。
コストを最適化させるため
クラウド監視を適切に活用することで、不要なリソースを特定し、コストの最適化が可能になります。監視データをもとに、リソースの使用状況を把握し、必要以上に確保されたサーバー容量を適正化することで、無駄なコストを抑えることが可能です。
また、リソースのスケーリングを最適化することで、需要の変動に応じた効率的な運用が可能になります。負荷が高い時間帯にはリソースを増強し、低い時間帯には縮小することで、必要な分だけ活用し、無駄な支出を防ぐことができます。
このように、クラウド監視を適切に活用すれば、コストを抑えながらシステムの安定性を確保し、クラウド環境の運用効率を最大化できます。
クラウド監視とオンプレミス監視の違い

クラウド監視とオンプレミス監視は以下の2点で大きな違いがあります。
- 管理領域
- 必要な監視機能
ここでは、それぞれの監視内容について詳しく解説します。
管理領域

クラウド監視とオンプレミス監視の大きな違いのひとつは管理領域です。オンプレミス環境では、ネットワークからアプリケーションまで、すべての管理を自社で担う必要があります。一方、クラウド環境では、クラウドサービスの種類によって、管理範囲の一部をベンダーに任せることができます。
- IaaS(Infrastructure as a Service):サーバーやネットワークなどのインフラ部分をプロバイダーが管理。
- PaaS(Platform as a Service):OSやミドルウェアもプロバイダーが管理。
- SaaS(Software as a Service):すべての管理をプロバイダーが担う。
- オンプレミス:すべての要素を自社で管理する。
クラウド環境では、ベンダーがインフラやソフトウェアの一部を管理するため、企業は自社で対応すべき範囲を減らすことができます。
ただし、テレワークなどのリモートアクセス環境におけるネットワーク部分は、クラウドプロバイダーが管理しないため、企業側での対応が必要です。特に、オンプレミス環境と連携する場合は、ネットワークの構成や管理方法を慎重に検討することが求められます。
必要な監視機能
クラウド監視とオンプレミス監視では、システムの特性が異なるため、求められる監視機能も異なります。
クラウド環境では、スケーリングや設定変更が頻繁に行われるため、動的な変化をリアルタイムで把握できる監視機能が必要です。たとえば、サーバーリソースの自動増減やリソースの割り当て変更を監視し、適切なパフォーマンスを維持する機能が求められます。
一方、オンプレミス環境ではハードウェアやネットワークの構成が固定されているため、監視対象の変化は少なく、主に静的な情報の監視が中心となります。具体的には、サーバーやネットワーク機器の稼働状況、ストレージ使用量、CPUやメモリの負荷などを監視し、障害発生時に迅速に対応できる体制を整えることが重要です。
このように、クラウドでは動的な変化への対応、オンプレミスでは安定したリソースの監視が求められるため、それぞれに適した監視機能を導入する必要があります。
クラウド監視するためのツール

クラウド監視をおこなうためのツールには、いくつかの種類があります。代表的なものとして、以下の3つが挙げられます。
- クラウドサービスプロバイダーが提供する監視ツール
- SaaS型監視サービス
- オープンソースソフトウェア(OSS)
クラウド監視を実現するための代表的なツールとその特徴を紹介します。
クラウドサービスのプロバイダーが提供する監視ツール
クラウドサービスのプロバイダーは、クラウド環境の可用性やパフォーマンスを維持するために、専用の監視ツールを提供しています。これらのツールは、クラウド上のサーバーやネットワークの状態をリアルタイムで監視し、異常を検知した際にアラートを発信する機能を備えています。
AWSの「Amazon CloudWatch」やAzureの「Azure Monitor」、GCPの「Cloud Monitoring」などが代表的です。これらを活用することで、CPUやメモリの使用状況、ネットワークトラフィック、アプリケーションの応答時間などを詳細に把握できます。
また、クラウドプロバイダーの監視ツールには、クラウド環境に最適化されているため、導入が容易というメリットがあります。一方で、オンプレミス環境と併用する場合は、マルチクラウドやハイブリッド環境向けの統合監視ソリューションが必要なことがあります。
SaaS型監視サービス
SaaS型監視サービスは、迅速に導入でき、特別なインフラ構築を必要としない点が特徴です。監視データの収集、可視化、ダッシュボード機能を備えており、システムの状態をリアルタイムで把握し、運用管理を効率化できます。クラウド上で提供されるため、最新の監視機能が常に利用可能であり、システムの変化に柔軟に対応できます。
また、ハイブリッドクラウド監視サービスを利用することで、オンプレミスとクラウドが混在する複雑な環境にも対応可能です。マルチクラウド環境を活用する企業にとって効果的なソリューションとなるでしょう。

例えば、JBCCでは「EcoOne ハイブリッドクラウド監視サービス」を提供しています。本サービスは、マルチクラウドとオンプレミス環境を一元的に監視できる統合監視ソリューションであり、24時間365日の死活監視や性能監視を実施し、異常を検知した際には自動でアラートを通知します。
また、クラウドベンダーが提供する標準の監視ツールでは、クラウド全体に障害が発生した場合に監視機能自体が停止する可能性がありますが、本サービスではそのような状況でも異常を検知できます。
より詳しく知りたい方は、こちらのページをご覧ください。
オープンソースソフトウェア(OSS)
オープンソースソフトウェア(OSS)は無償で利用できるため、ライセンスコストをかけずに監視システムを導入できます。さらに、オンプレミス環境とクラウド環境の両方を監視できるツールが多く、ハイブリッド環境にも対応しやすいという特徴があります。
また、自社の要件に応じてカスタマイズできる点も、大きなメリットです。既製の監視ツールでは対応しきれない特殊な監視要件にも対応できるため、必要な機能を自由に追加したり、細かい設定を調整したりできる柔軟性があります。
一方で、導入や運用には専門的な知識が必要となるため、手間がかかる点には注意が必要です。監視環境の構築やトラブル対応をすべて自社で行うには、OSSの利用に慣れていない企業にとっては大きな負担となります。
企業の監視要件や社内の技術力、運用体制を考慮し、OSSの活用が適しているか慎重に判断することが重要です。
クラウド監視ツールの導入を成功させるためのポイント

クラウド監視ツールを効果的に運用するためにはいくつかの注意点があります。主な注意点は、以下のとおりです。
- 監視対象の範囲と優先順位を決める
- 監視の自動化ツールを活用する
- 運用状態を把握しておく
順番に解説します。
監視対象の範囲と優先順位を決める
クラウド監視を効果的に運用するには、監視対象を適切に絞り込み、優先度を明確にすることが重要です。すべてのシステムやアプリケーションを無差別に監視すると、膨大なデータが発生し、運用負荷が増大してしまうからです。
ビジネス上重要なシステムや、障害発生時の影響が大きい部分を優先的に監視しましょう。例えば、基幹システム、データベース、顧客向けWebサービスなどは、ダウンタイムが業務に与える影響が大きいため、重点的に監視するべきです。
また、不具合が発生した際の影響を考慮し、重要度の高い順に監視の優先順位を設定することで、リソースを適切に配分でき、運用負担を抑えることが可能になります。
このように、監視対象を限定し、優先順位を設定することで、クラウド環境の安定運用と効率的な監視が実現できます。
監視の自動化ツールを活用する
クラウド監視の自動化により、日々の運用負荷を大幅に軽減し、人的ミスを防止できます。自動化の対象となるのは、監視データの収集、異常検知、問題発生時のアラート送信、定期的なレポート生成などです。
また、CSPM(Cloud Security Posture Management)ツールを導入することで、クラウド環境の設定ミスを自動検知し、ヒューマンエラーによるセキュリティ事故を未然に防ぐことも可能です。
例えば、JBCCの「クラウド設定監査サービス」では、マルチクラウドのIaaS環境の設定ミスや漏れを監査・診断し、定期レポートで報告します。さらに、不審な通信や設定変更を監視し、攻撃の予兆やデータの外部公開状態を検知・報告することで、セキュリティリスクを低減します。
詳しく知りたい方は、こちらのページをご覧ください。
通常時の運用状態を把握しておく
クラウド監視を適切に運用するためには、システムの通常時の状態を把握しておくことが重要です。基準となる運用状態を理解していれば、異常が発生した際に迅速な対応が可能になります。
クラウド環境ではリソースが動的に変化するため、オンプレミス環境より監視が複雑になりやすい傾向があります。そのため、システムのワークフロー全体を理解し、どの部分がどのように変化するかを把握しておくことが必要です。
また、CPU使用率やメモリ使用量などのパフォーマンスデータに加え、操作ログの分析も有効です。通常時の動作パターンを把握しておくことで、些細な変化にも素早く対応でき、異常の早期発見につながります。
このように、システムの運用状態を継続的に監視・分析することで、異常時の影響を最小限に抑え、安定したクラウド運用を実現できます。
クラウド監視でお悩みの方はJBCCへご相談ください
本記事では、クラウド監視の概要や重要性、効果的な導入・運用のポイントについて解説しました。クラウド監視は、システムの安定稼働、セキュリティリスクの低減、コストの最適化に不可欠です。しかし、監視項目の設定やツールの選定、適切な運用体制の構築には、専門的な知識が求められます。
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