新型コロナウイルス感染症の影響により、自宅での業務や業務の効率化を考える企業が増えています。しかし実際には、アナログなシステムによってなかなかテレワークや効率化が進まないという企業も多いでしょう。
そういった問題を解決するのが、ワークフローシステムです。ワークフローシステムとは、書類作成をデジタル化したシステム。ワークフローシステムを導入することにより、業務の効率化だけでなく、コストやコンプライアンスといったさまざまな企業課題を解決できます。
本記事ではワークフローシステムの基礎と導入によるメリット、ワークフローシステムの選び方、導入方法などを解説します。
目次 |
1. ワークフローシステムとは
ワークフローシステムとは、主に書類作成における業務の流れをデジタル化したものです。
これまでのアナログな書類決裁では、手書きやパソコンで書類を作成して印刷。その後、上長に提出し、ハンコによる決裁をもらえるまで待つのが一般的でした。ワークフローシステムでは、これらの手続きをすべてシステム化。必要事項を記入することで、システム上に保管され、承認者の決裁もシステム上で可能となっています。
キーマンズネットが2022年に調査した「ワークフローツールの導入状況」では、社内業務の申請や資料回覧について「グループウェア内のワークフロー機能を使って申請する」が46.3%、「ワークフローの専用ツール」が42.9%と、半数近い企業がワークフローを業務に導入しています。
▼キーマンズネット「ワークフローツールの導入状況」
https://kn.itmedia.co.jp/kn/articles/2209/08/news155.html
特にテレワークを行っている企業は積極的に導入しており、ワークフロー総研が2022年に発表した「テレワークとワークフローの導入実態調査」においては、テレワークを行っている会社で「ワークフローシステムを導入している」と答えた企業は73.2%。また導入していない企業でも91.7%が「ワークフローシステムの導入は、テレワークの推進に必要である」と答えています。理由は「書類提出のために社内に出社しなくても良くなる(脱ハンコ)」「稟議や申請がよりスムーズになる」「稟議や申請がきちんと記録され、参照できる」などです。
▼ワークフロー総研「テレワークとワークフローの導入実態」
https://www.atled.jp/wfl/article/10706/
2. ワークフローシステムを導入するメリット
ワークフローシステムを導入する企業や、必要性を感じる企業が増えているのは、ワークフローシステムに多くのメリットがあるためです。ここからは、ワークフローシステムを導入するメリットについてご説明します。
決裁がスピーディになる
ワークフローシステムの1つ目のメリットは、決裁がスピーディになることです。
従来のような紙での決裁の場合、必要な内容を記入して、合議先で回覧、その後上長に提出して決裁を待つという流れが主流でした。しかしこの場合、合議先の従業員や上長が不在だったり、他の書類に埋もれて申請が忘れられたりして、申請から決裁までに時間がかかってしまいます。
ワークフローシステムなら、申請内容を必要な従業員が同時に閲覧できるため、回覧の順番を待つ必要がありません。またクラウドサービスなら出先からも閲覧可能。スマホやタブレットといったマルチデバイスに対応しているシステムがほとんどなので、出先や移動中でも承認ができます。
さらに、ワークフローシステムでは、誰が承認していないのかも分かるようになっています。どこで止まっているかを全員に確認しなくても、承認をしていない人物に素早く催促が可能です。
申請業務が効率化される
業務を効率化できることは、ワークフローシステムの非常に大きなメリットです。
紙で書類を作成する場合は人が記載や計算をしているため、必要な事項を記入できていなかったり、計算を間違ったりなどのミスが発生する可能性があります。間違った部分を差し戻して修正、再度回覧するのは、大きな時間のロスです。加えて紙での保管は、書類が必要になったときに膨大な書類の中から人の手で1枚1枚確認しながら探すことになり、非常に時間がかかります。
ワークフローシステムなら、こうした時間の無駄を減らせます。自動チェックや自動計算機能によって、記入や計算のミスを防げるため、差し戻しや修正の手間を省くことが可能です。加えて、書類を電子保管することで、ファイリングや保管の手間が減り、書類の検索も楽になります。
ペーパーレス化・効率化によるコスト削減
ワークフローシステムは書類を電子化するため、紙による印刷や保管を大幅に減らすことに繋がります。これによって保管する場所や印刷費用が不要となるため、コスト削減が可能です。
またワークフローシステムを導入することによって、交通費も削減できます。紙媒体の場合、書類にハンコを押す必要があるため、出社をしなければなりません。実際にテレワークが普及しはじめた頃にも「ハンコを押すためだけの出社」に悩まされた人や企業は多かったようです。
ワークフローシステムを導入すれば、ハンコを押すためだけの出社は必要なくなり、交通費も削減できます。厚生労働省が発表した「令年2年就労条件総合調査」によると、従業員1人あたりにかかる月の平均交通費は1万1,700円。仮に従業員が50人であれば、月に58万5,000円の交通費を支払っていることになります。
▼厚生労働省「令和2年就労条件総合調査」
https://www.mhlw.go.jp/toukei/itiran/roudou/jikan/syurou/20/dl/gaiyou02.pdf
ワークフローの導入によって完全テレワークが実現できれば、交通費を丸々削減することも可能です。その金額を、利益や他の環境整備などに回すことができます。
ワークフローの導入、特にクラウドサービスを利用する際はセキュリティ面を気にする企業も多いと思いますが、セキュリティ意識の高いワークフローシステムを導入すれば、安全に書類を管理することも可能です。
ただし、完全にペーパーレスにするには、紙での保管が義務付けられている書類も電子化を可能にする必要があります。この場合、社内規程を変更しなければならないため、事前に社内ルール等のチェックをしましょう。
コンプライアンス遵守
ワークフローシステムの導入はコンプライアンス遵守にも繋がります。
法令や社内規程、社会的倫理を守ることは、企業が信頼されるための基本です。特にSNSが普及したことで、コンプライアンスを遵守しないことによって大きな批判を受け、企業生命を脅かすことも考えられます。
文部科学省が主導した「社会技術研究プロジェクト」での組織不祥事予防に関する研究によって、コンプライアンス違反は特に「人の言動を重視する企業」で起こりやすいとされています。これを防ぐには人による管理ではなく、システムによる管理を行うことが最適です。
ワークフローシステムの導入により書類や承認履歴をデジタルすることで、人為的なものを排除し、コンプライアンス遵守に繋げます。
3. ワークフローシステムの導入手順
ワークフローシステムは、ただ導入しただけでは社内に浸透しません。導入目的を定めて社内での環境を整えるなど、前準備としてやるべきことが多くあります。ここからはワークフローシステム導入の手順をご説明します。
1.現状を把握し、導入の目的を明確にする
まずは現状の問題点を把握して、導入の目的を明確にしましょう。
具体的には、現状の書類がどういったワークフローになっていて、その上で問題となっている箇所を洗い出します。加えて、洗い出した問題をワークフローシステムが解決できるのか、どのように解決するのかを考え、ワークフローシステムを導入する目的をはっきりさせましょう。
ワークフローシステムを導入する目的は、導入の根底となる非常に重要な部分です。ここが明確になっていないと、自社に合ってないワークフローシステムを導入してしまい、思ったような効果が出ないことがあります。
2.担当者の決定
導入の目的が定まったら、ワークフローシステム導入の担当者を決めます。担当者として適切なのは「利用や承認、利用後のメンテナンスに関わる人の意見を平等に聞ける立場の人物」です。
ワークフローシステムは、システム部門や管理部門だけで決めてしまいがちですが、最も大切なことは、実際に使う従業員の意見です。もし従業員にとって使い勝手が悪かったり、必要性が見出せなかったりした場合、かえって効率化を阻害する可能性があります。従業員にとって使いやすく便利であるか、リアルな声を平等に集められる人物を担当者にしましょう。
3.利用書類・利用者を決定
次にシステム化する書類と、申請者、承認者を決めます。
社内で規定されている承認ルートを確認し、どの範囲で使用する書類なのか、承認者は誰なのかなど、システム化するための前準備を行いましょう。
すべての書類を一気にシステム化することも可能ですが、優先順位を決めてスモールスタートし、様子を見ながら徐々にシステム化する書類を増やしていく方法もあります。
また同時に省ける書類や、適切なワークフローを辿っていない書類がないかも見直しましょう。システム化に伴って整理をすることで、より業務を効率化できます。
4.ワークフローシステムを選定・導入
利用書類と利用者を決めたら、利用するワークフローシステムを選定します。選定の際には、目的に合っていることはもちろん、利便性や安全性にも配慮しましょう。
ワークフローシステムを選定したら、導入して実際に使用します。ワークフローシステムの中には、トライアル期間を設けているものも多いため、実際に使ってみて使用感を試すと良いでしょう。
一定期間導入したら、不満点や使用感などを利用者に聞いてみましょう。その上で、利用を続けるか、別のシステムにするかを検討します。
5.運用開始
自社に合うワークフローシステムが決まったら、全社導入して運用を開始します。
運用開始前にはマニュアルを準備して、利用者全員が使いやすいようにすると、ワークフローシステムが浸透しやすくなるでしょう。
同時に、メンテナンス管理を行う人材も選定します。ワークフローシステムは運用を始めたら終わりではありません。フォーマットを変更したり、トラブルに対処したりするための人材が必要となります。
4. 自社に合わせたワークフローシステムを選ぶポイント
先述したようにワークフローシステムは「自社の目的に合ったもの」であることが、何より大切です。ここからは自社に合わせたワークフローシステムを選定するためのポイントをご紹介します。
自社の書類フォーマットや承認フローに対応できるか
ワークフローシステムを導入する際には、現在使用している書類フォーマットや承認フローに対応できるかを確認しましょう。
システム導入の際には、これまで利用していたフォーマットや承認フローをなるべく変更することなく、そのまま電子化するのがベストです。なぜなら、システムに合わせて大きくフォーマットを変更すると、従業員の抵抗感が強くなるためです。フォーマットに大きな変化がないように、なるべく現状のフォーマットを維持できる形が望ましいでしょう。
また、今後の経済や企業状況によって書類が変化した場合に対応できるかも確認しましょう。フォーマットが変更しやすいワークフローシステムであれば、この点も柔軟に対応できます。
同時にさまざまな承認フローに対応できるか、他のツールとの連係機能があるかも確認しておきましょう。
従業員が使いやすいか
先述したように、ワークフローシステムで非常に重要なのは「従業員にとって使いやすいか」です。
直感的に利用できるか、運用や導入に負担はないかなど、トライアルで従業員のリアルな使用感を集めておきましょう。ベンダーによっては、従業員の声を反映してサポートを行ってくれます。困ったときのサポートが充実しているベンダーを頼るのも、ひとつの選定方法です。
マルチデバイスに対応しているか
ワークフローシステムの利点であるスピーディな決裁を実現させるなら、スマホやタブレットと言ったマルチデバイスでの対応は必須です。マルチデバイスに対応していれば、出先でスマホやタブレットから申請を確認してもらえます。
5. CollaboStyle Sales Partner of the year 2年連続受賞したJBCCがご提案するワークフローシステム「コラボフロー」
「やはり自社にワークフローシステムは難しそう」「社員が操作しやすいワークフローシステムが分からない」など、ワークフローシステムにお悩みの方には「コラボフロー」をご提案いたします。
コラボフローは、直感的な操作で誰でも使いやすいよう配慮したワークフローシステムです。エクセルを使ってフォームを作ることができて、導入がスムーズ。連係機能やワークフローをより活用するための機能も充実しており、1,000名規模の申請を必要とする企業にも採用されています。
コラボフローは、その使い勝手の良さから販売数を伸ばしており、JBCCはコラボスタイル社が表彰する「CollaboStyle Sales Partner of the year」を2021年、2022年と2年連続で受賞しています。CollaboStyle Sales Partner of the yearは、コラボフローを提案するパートナーの中で、最も成長率の高いパートナーに贈られる賞です。JBCCではデジタル化への対応以外にも、独自の運用ガイドを作成するなど、導入後の定着にも力を入れている点を高く評価されました。
コラボフロー
コラボフローは、誰でも簡単に作れる・直せるワークフローシステムです。直感的な操作性で使い手を選びません。Excel、紙に埋もれるワークフロー業務を効率化し、働く人のストレスを軽減しより働きやすい環境の実現や、意思決定のスピードアップのご支援をします。 |
6. まとめ
ワークフローシステムの導入には、業務効率化、コスト削減、コンプライアンス遵守などさまざまなメリットがあります。自社に最適なものさえ導入できれば、業務や経営を楽にしてくれるでしょう。
JBCCでは、DXやIT化についてお悩みの企業に対して、最適なものをご提案できるようご相談に応じております。ワークフローシステムの導入でお悩みの際には、JBCCにお気軽にご相談ください。
【事例資料ダウンロード】南海電気鉄道株式会社 様 オフィスワークを効率化する「ワークフローシステム」導入
1000人規模の社内申請をデジタル化、「印鑑&ペーパーレス化」でDXをスタート。 誰でも簡単に作れる・直せるワークフローシステムで、全社運用を早期に実現した南海電気鉄道株式会社様の導入事例です。 |
JBCC株式会社JBCC株式会社は、企業のデジタル・トランスフォーメーション(DX)を支援する総合ITサービス企業です。クラウドサービスを中心にシステムの設計から構築、運用までを一貫して手掛けており、クラウド 2,150社、超高速開発による基幹システム構築 440社、セキュリティ 1,100社の実績があります。 |