平成28年版「情報通信白書」(総務省)の発表によると、クラウドサービスの利用状況は年々増加しており、2015年の段階で導入済みの企業は4割を超えています。しかし、「クラウドサービスについてよく分からない」という回答も、1割程度見られました。そこで今回は、クラウドサービスに関する独自のアンケートを実施。利用動向から導入に向けた懸念点、期待されている分野についてまで意見を募りました。それぞれの設問に寄せられたコメントともにご紹介していきますので、クラウドサービスに興味・関心をお持ちの方はぜひご覧ください。
【最新】クラウドサービス利用動向
1位:導入を検討中・・・32%
・業務の効率が良くなったり、コストの削減などが期待できそうなので。(男性・石川県・35歳)
・クラウドサービスを導入したいがある程度の費用がかかる為、費用対効果が見込めるのか検討中なため。(男性・宮崎県・41歳)
・社内のセキュリティ強度を高めるためにクラウドサービスの導入を検討中です。(男性・栃木県・43歳)
2位:導入の予定はない・・・25%
・現段階でまだ必要性が薄く、別の設備などに資源投入を優先している。(男性・青森県・42歳)
・自社サーバーを運用してるので、クラウドサービスを利用する必要はない。(男性・大阪府・52歳)
・よく分からないから、導入にあたってシステムが不安だから。(女性・山梨県・54歳)
3位:全社で導入済み・・・22%
・契約書類や資料等を扱っている為、どうしてもクラウドサービスが必要でしたが、導入してからは、保管等もでき、パソコン自体のスムーズな動きも戻り、管理もしやすくなりました。(男性・静岡県・42歳)
・会社全体で情報共有をすることによって、無駄な手間や予算をかけずに成果を出すことができると見込んで、導入しました。(男性・埼玉県・27歳)
・営業のスケジュール等の管理をすることで、来客の日時が分かるため、工場の見学等の事前準備の効率をよくすることができるため導入しました。在庫管理の共有化を行い、工場と棚卸を入力する総務との連携も効率的に行えています。(男性・富山県・42歳)
クラウドサービスは徐々に普及中
1位になったのは「導入を検討中」という回答。ストレージの圧迫やコスト削減、業務効率向上などを期待し、積極的に取り入れたいとお考えの方が多いようです。一方で、費用対効果について気にする声もちらほら。加えて、年代によってのリテラシー問題も意見として挙がっています。
一方で、2位になった「導入の予定はない」という回答に寄せられた声を見ていくと、会社の規模感やセキュリティ問題、コストについて懸念する意見が大多数でした。その他、扱うデータのサイズが大きいため、ローカルストレージやネットワークのほうが使いやすいというものもみられます。
なお、3位と4位についてはすでに導入済みというもの。「全社で導入済み」という方からは、コスト削減や作業効率化が実現し、セキュリティ面も問題なしといったポジティブなコメントが集まっています。また、「一部の事務所・部署で導入済み」という回答を選んだ方も、「今後拡大予定である」とおっしゃっています。
全体の統計で見ると、未導入の企業が57%、導入済みが43%という結果になりました。ただし、導入に対して前向きな意見という括りでみた場合には7割以上となり、クラウドサービスがビジネスシーンで受け入れられ始めていることが分かります。
クラウドサービス導入における懸念点とは
1位:セキュリティの信頼性
・社内データのバックアップとして考えているが、外部から侵入されるのが怖い。そのため限られたデータのみの利用にする可能性もある。(男性・青森県・58歳)
・社内で取り扱うデータの大半が機密性の高い情報を含むものであるため、データを社外で保管することに不安がある。(男性・三重県・36歳)
・やはり安全性が何より気がかりです。その点にコストはかけても良いと考えています。(男性・山形県・41歳)
1位になったのは「セキュリティの信頼性」。なんと50%もの方がこの点に不安を覚えているようです。当然、クラウドサービス提供側もこの問題については高い熱量で取り組んでいます。
企業ごとに求められるセキュリティレベルに合わせたプランを用意しているところも少なくありません。システムをすべて社内に置くオンプレミス型のプライベートクラウドを構築することも可能。また、パブリッククラウドであったとしても、基本的なセキュリティ体制に問題はありません。情報漏えい等の事故を頻発するようなサービスは、市場原理によって淘汰されていると考えられます。現在利用されている多くのサービスは、ほとんどの企業のコンプライアンを満たせると言えるでしょう。
2位:導入コストがかかる
・とにかく社長が毎日のようにコストダウンに関することばかりを言っているので、クラウドサービスということばだけで経費に対してピリピリしていそうな感じが予想できます。(女性・香川県・39歳)
・1台あたりのコストは高くはないが、全社的な導入となると金額も馬鹿にならない。(男性・神奈川県・55歳)
・人件費がかなりかかる。専門家を呼んだり勉強する暇がない。(女性・富山県・31歳)
会社の規模感にもよりますが、全事業所に整備を進めるとなると、毎月大きなコストがかかると予想されます。加えて、既存システムとの連携・開発やリプレースの費用、クラウドサービスの操作等にかかる教育コストを考えた場合、手軽な買い物とはいかないようです。
ただし、実際に社内でクラウドサービスと同様のシステムを構築しようとすれば、より大きなコストがかかると予想されます。それに比べ、クラウドサービスはサブスクリプションモデルがほとんどであり、初期費用はそこまで高額ではありません。企業に合った効率的な運用さえできれば生産性向上につながり、結果的には事業に大きく貢献してくれるでしょう。
3位:ネットワークの安定性
・システムが一つストップしてしまうと全国的に運営が止まってしまうので損害が大きくなる。(女性・富山県・43歳)
・業務に利用する以上は安定して使い続けることが出来なければ意味が無いから。(男性・大阪府・28歳)
・我々にコントロールできない領域もあり、万が一ネットワーク側のトラブルが発生する事に懸念はあります。(男性・北海道・47歳)
クラウドサービスは社外のネットワークを使うということで、障害発生などのリスクを懸念する声も少なくありません。「システムがダウンしようものなら、すべての業務が停止してしまう......」といったコメントも散見されました。
重大な問題ではありますが、こちらも基本的な考え方はセキュリティと同様です。ビジネスで求められる安定性についてクリアしたサービスのみが生き残っていると考えられるでしょう。不安な場合は導入事例などを参照し、同業種が導入をしていないかなどを確認してみるのがおすすめです。
今後期待が高まるクラウドサービスは「サーバ保管・データ共有」
1位:サーバー保管・データ共有
・社内でやり取りしている書類や共有データを、クラウドで一括管理できるようにしたいと考えている(男性・奈良県・41歳)
・バックアップはクラウドが最も信頼でき、導入もしやすいため。(男性・佐賀県・36歳)
・現在は社内ネットワークでしか情報共有が出来ないため、外出先から確認が出来ない。(男性・青森県・42歳)
業務効率化やストレージ圧迫問題の解消といった点が評価され、「サーバー保管・データ共有」が1位となりました。社内はもちろん、外部との連携も視野に入れ、データ共有を行いたいといった意見が集まっています。
また、外出先からデータの参照・編集を行いたいといったクラウドサービスならではのメリットを挙げたコメントも届きました。ローカル環境でのデータ受け渡しやバックアップに対してストレスを感じている人たちにとって、クラウドサービスが強力なソリューションとなることが分かります。
2位:給与、財務会計、人事
・現時点では全国の物価を考慮して給与を定めているのでクラウドで一括管理し、柔軟に変化させていき経営や従業員の気持ちの満足度を高めたい。(女性・富山県・43歳)
・データ入力は外部に任せる方が効率がいいからです。(女性・東京都・37歳)
・給与などの情報を自社内で持ち続けること自体が相応のコストが発生すると考えているため。(男性・岡山県・40歳)
膨大なデータを取り扱う「給与、財務会計、人事」でクラウドサービスを利用したいという回答が2位という結果に。コメントを見ていくと、業務効率化に対する要望が非常に多く集まっています。特に事業所が多い企業の場合は、全国のデータを一括管理できるのは大きなメリットであると言えるでしょう。結果的に人件費削減にもつながる、という声も多く見られました。
3位:社内情報共有/ポータル
・現在各自が顧客を管理していますが、出張が多いため情報の共有に時間がかかっています。ある一部分の人だけが分かっていることが多すぎます。情報が共有できれば誰でもいつでも対応できるので顧客にも喜ばれる会社になれると思います。(女性・岐阜県・42歳)
・仕事の効率があがるし、タブレットなどで共有すれば、用紙や人件費の削減になるから(男性・茨城県・45歳)
・社内掲示板など、情報共有ツールとして期待したい(男性・東京都・42歳)
情報共有をスムーズにし、出先からでもアクセスが可能になるという点に魅力を感じている方が多いようです。また、社内ポータルについてもマネジメント視点から導入を進めたいという声が挙がっていました。導入によって、業務効率アップや人件費削減に効果が期待できると考えられます。
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日本においてクラウドサービスがだんだんと浸透していることが分かった今回のアンケート。全体のコメントを見ていくと、懸念点等を挙げつつも、多くの方がクラウドサービスについて前向きな姿勢であることがうかがえました。導入による業務改善やコスト削減に対する期待値も高く、条件さえ揃えばすぐにでも試してみたいという声も多く聞かれます。
現段階でも、すでにセキュリティやコストパフォーマンス、安定性に優れたものも多く提供されており、イノベーティブな発想による新サービスもローンチされ続けています。インターネットインフラの高速化やITテクノロジーの発展、加えて働き方改革などの後押しを受け、クラウドサービスは今後さらに拡大していくと言えるでしょう。
JBCC株式会社JBCC株式会社は、企業のデジタル・トランスフォーメーション(DX)を支援する総合ITサービス企業です。クラウドサービスを中心にシステムの設計から構築、運用までを一貫して手掛けており、クラウド 2,150社、超高速開発による基幹システム構築 440社、セキュリティ 1,100社の実績があります。 |